GEMINI MASTER | LESSON 06
第6回:スプレッドシート分析
― 関数を書かずに、集計・グラフ化する ―
パソコンが得意でない方でも、上から順に進めるだけで終わるように作りました。所要時間の目安は合計10分です。
💡 最初にこれだけ
数字の分析でAIを使うコツは、「集計して」で止めないことです。合計や平均が出ただけでは、何も決まりません。「どこが問題か」「なぜそうなったか」「何をすべきか」——ここまで一度に頼んでください。集計は入口であって、目的ではありません。
※本記事はGoogleスプレッドシートを前提にしています。Excelのファイルも、ドライブにアップロードすれば同じように扱えます(形式によっては変換が必要な場合があります)。
なぜ「表の形」だけで、ここまで差がつくのか
AIが数字を読み違える原因は、能力ではなく表の作りにあります。
POINT 01
人が見やすい表と、AIが読める表は違う
結合セルで見出しをきれいに揃え、途中に小計行を挟み、空行で見やすく区切る——人には親切ですが、AIには意味が取れません。どの数字がどの項目なのか判別できず、平気で合計を間違えます。逆に、味気ない一覧表のほうが、AIは正確に読めます。
POINT 02
関数を覚える時間が、そもそも要らなくなった
これまではやりたいこと → 関数名を調べる → 書き方を調べる → 試すという工程が必要でした。いまはやりたいことを日本語で言うだけです。関数を覚えていること自体の価値は、急速に下がっています。覚えるべきは「何を聞くか」のほうです。
失敗しないための、たった2つのルール
RULE 01
合計は、必ず自分で1回検算する
AIは計算を間違えることがあります。とくに行数が多い表、空欄が混ざる表、単位がバラバラな表で起きやすい。合計と件数の2つだけは、シートの関数(SUM・COUNT)で自分で出して突き合わせてください。30秒で済みます。
RULE 02
「なぜ」の答えは、仮説として扱う
「売上が落ちた理由」をAIが挙げてきても、それは表の中の数字から推測した候補にすぎません。天候、人員、近隣の工事——現場の事情はデータに入っていません。候補を出させて、現場の感覚で選ぶ。この使い方が正解です。
この記事のゴール:数字の扱いにも「3段階」がある
全部を今日やる必要はありません。まずレベル1、慣れたらレベル2。レベル3は仕組みにする段階です。
LEVEL 1 / 今日から
聞いて、集計させる
整えた表に、日本語で質問する。ここだけで作業時間が大きく減ります。
STEP 1・2 で解説
LEVEL 2 / 仕事で使う
数式とグラフを作らせる
シートに残る形にする。人に渡せて、来月も使える資料になります。
STEP 3・4 で解説
LEVEL 3 / 仕組みにする
月次の型にする
毎月、貼るだけ。第9回の自動化に、そのままつながる段階です。
STEP 5・6 で解説
STEP1
SHAPE / 所要2分 ★ここで9割決まる
AIが読める表に、整える
この2分を飛ばすと、あとの8分がぜんぶ無駄になります。整え方は難しくありません。「1行目が見出し、2行目からデータ、余計なものは何も無い」——これだけです。
見た目の美しさは、あとから作れます。まず「味気ない一覧表」にしてください。
整えるときの5つのルール
- 1行目だけが見出し:2行にわたる見出し、結合セルは解除する
- 小計・合計行を途中に入れない:別のシートか、いちばん下だけに
- 空行・空列を作らない:見やすさのための区切りは削除
- 1つのセルに1つの情報:「A店 田中」ではなく、店舗列と担当者列に分ける
- 単位と表記をそろえる:「1,000円」「1000」「1千円」が混在しない。日付の形式も統一
📋 整え作業も、AIに頼める
このスプレッドシートを、分析しやすい形に整える手順を教えてください。
・1行目だけが見出しになる形にする
・結合セル、途中の小計行、空行を無くす
・1セルに複数の情報が入っている列は、分ける
・表記や単位がそろっていない箇所を指摘する
どこをどう直すかを、上から順に具体的に示してください。
元のデータは変更せず、直す箇所の一覧だけ出してください。
⚠️ 元データのコピーを取ってから
整える作業は、
必ずコピーを作ってから行ってください。スプレッドシートなら「ファイル → コピーを作成」で1秒です。元データを直接いじって、あとから戻せなくなる——研修の現場でいちばん多い事故です。
うごく君のひとこと「うちの表、ぐちゃぐちゃで無理」って人ほど、ここで伸びるよ。整え作業そのものをAIに手伝わせればいい。どこが問題かを指摘してもらうところから始めよう。
整った表ができたら、聞くだけです。呼び出し方は主に2通り。使いやすいほうを選んでください。
2つの呼び出し方
1
スプレッドシートの中から呼ぶシートを開いたままGeminiを呼び出す方法。作業の流れが途切れず、結果をそのままシートに書き戻せます。
2
Geminiの画面からファイルを指定する「ドライブの〇〇という表を分析して」と指定。複数のシートを横断したいときは、こちらが便利です。
※シート内から呼び出せる機能の提供状況は、プラン・アカウントの種類・提供地域によって異なります。使えない場合は方法2で、ほぼ同じことができます。
聞き方の型:集計で止めない
3
何を知りたいかどこが問題か/なぜか/何をすべきか
📋 数字を打ち手に変えるテンプレ
この表を分析してください。私は〔経営者〕の立場で見ます。
1. 〔店舗別・月別〕の集計表(前年同月比つき)
2. 目立って良い項目・悪い項目を、それぞれ3つずつ
3. 悪い項目について、この表から読み取れる原因の候補(推測は「推測」と明記)
4. 来月やるべきことを3つ、効果が大きい順に
※合計と件数も出してください(私が検算します)
※表に無い情報は補わないでください
✕ もったいない聞き方
「この表を集計して」
→ 数字が出るだけ。そこから自分で考え直すことになる
◎ 効く聞き方
「店舗別・前年同月比で集計し、落ちている3店舗について原因の候補と、来月の打ち手を3つ」
→ そのまま会議に出せる
うごく君のひとこと「合計と件数も出して」を必ず入れてね。あとで検算するときの手間がまるで違う。AIに検算のための材料まで出させておくのがコツだよ。
STEP3
FORMULA / 所要2分
数式は、覚えずに書かせる
会話で答えをもらうだけだと、来月また同じことを聞くことになります。シートに数式として残すと、翌月からは自動で計算されます。ここが会話とシートの決定的な違いです。
📋 数式を書かせるテンプレ
スプレッドシートで、次のことをしたいです。数式を教えてください。
やりたいこと:〔B列の店舗名がA店の行だけ、D列の金額を合計したい〕
・データはA1からE500にあります(1行目が見出し)
・そのまま貼り付けられる形で書いてください
・何をしている数式なのか、1行で説明を付けてください
・データが増えても自動で対応する形にしてください
よく使う「やりたいこと」の言い方
- 条件つきの合計:「A店の売上だけ合計したい」「4月分だけ集計したい」
- 別の表から引っぱる:「商品コードから、単価表の単価を持ってきたい」
- 順位・上位:「売上の多い順に並べて、上位5件だけ出したい」
- 期間の計算:「作業日から、経過日数を出したい」
- 表記の整理:「全角と半角が混ざっているのをそろえたい」
セルの中で、AIに指示を書く方法
スプレッドシートには、セルの中に直接AIへの指示を書ける関数が用意されています。たとえば「この自由記述の感想を、良い/悪い/どちらでもないに分類する」といった処理を、行ごとに一気に実行できます。手作業で200件を分類していたような仕事が、数分で終わります。
※関数の名称・書き方・提供状況は、プランや環境によって異なります。使えるかどうかは、実際にセルに「=」を打って候補を確認するのが確実です。使えない場合は、STEP2の方法で列ごと分類してもらい、結果を貼り付ければ同じことができます。
⚠️ 数式は「動いたら終わり」ではありません
AIが出した数式が、
意図と違う範囲を集計していることがあります。とくに範囲指定(A1:E500など)は要注意。データが600行あるのに500行までしか集計していない、というズレが起きます。
合計が手計算と合うか、1回だけ確認してください。
うごく君のひとこと「何をしている数式か1行で説明して」を必ず付けよう。中身が分からない数式がシートに残ると、来年の自分が困るからね。人に引き継ぐときにも効いてくるよ。
STEP4
VISUAL / 所要1分
グラフと色分けを、1分で
数字の羅列は、読まれません。グラフが1枚あるだけで、会議での伝わり方がまったく変わります。ここは1分で済みます。
📋 グラフと色分けのテンプレ
この表から、次のグラフを作ってください。
1. 〔月別の売上推移〕を折れ線グラフで(前年と比較できる形)
2. 〔店舗別の構成比〕を、大きい順の棒グラフで
※グラフの下に、そこから読み取れることを1行ずつ添えてください
あわせて、条件付き書式の設定も教えてください。
・〔前年同月を下回っているセル〕を赤
・〔目標を超えているセル〕を緑
グラフ選びで迷ったら
| 見せたいこと | 使うグラフ | ひとこと |
| 時間による変化 | 折れ線 | 前年と重ねると説得力が出る |
| 項目どうしの比較 | 棒(大きい順) | 並べ替えるだけで伝わり方が変わる |
| 全体に占める割合 | 円・帯 | 項目が6つ以上なら帯グラフへ |
| 2つの数字の関係 | 散布図 | 「気温と売上」など |
| 異常値を見つけたい | 条件付き書式 | グラフより速く目に入る |
うごく君のひとこと「グラフの下に、読み取れることを1行」——これを付けるだけで、資料の質が一段上がるよ。グラフだけ貼ってある資料って、結局みんな読み飛ばすからね。
STEP5
VERIFY / 所要2分
検算して、信じられる数字にする
ここを省くと、この回の内容はすべて危険になります。AIは計算を間違えます。ただし、間違い方には傾向があるので、そこだけ押さえれば2分で済みます。
2分でできる検算ルーティン
- 合計を突き合わせる:シートのSUM関数で自分でも出して、一致するか見る
- 件数を突き合わせる:COUNT関数で行数を確認。集計漏れがいちばん多い
- いちばん大きい数字を1つ、元データで確認:桁の間違いはここで見つかる
- 空欄とゼロの扱いを確認:「空欄を0として計算したか、除外したか」を聞く
AIが数字を間違えやすい場面
1行数が多い表
数百行を超えると、一部だけ読んで集計することがあります。合計と件数の両方で確認してください。
2空欄が混ざる表
空欄を0とするか、除外するかで平均値が変わります。どちらで計算したかを必ず聞いてください。
3単位が混在する表
千円と円、税込と税抜が混ざっていると、そのまま足します。STEP1の整え作業が効いてきます。
4文字と数字が同じ列
「1,000円」「未定」が同じ列にあると、集計から漏れます。数値だけの列に分けてください。
📋 AI自身に検算させるテンプレ
いまの集計について、自己点検してください。
1. 集計に使った行数(件数)はいくつですか
2. 空欄はどう扱いましたか(0として計算/除外)
3. 集計から除外した行があれば、その理由は何ですか
4. 単位や表記がそろっていない箇所はありましたか
5. この結果で、自信がない部分はどこですか
該当がなければ「なし」と答えてください。無理に挙げないでください。
⚠️ 社外に出す数字は、必ず人が確認
請求・見積・決算・行政への提出書類。
これらに使う数字は、AIの集計をそのまま使わないでください。シートの関数で計算し直し、人が確認したものだけを使う。社内の傾向把握とは、扱いを分けてください。
うごく君のひとこといちばん多いのは件数のズレなんだ。合計は合ってるのに、実は50行読み飛ばしていた、とかね。だから合計と件数の両方を見るのが鉄則だよ。
STEP6
ROUTINE / 所要1分
毎月の型にして、繰り返す
最後の1分です。今日やったことを来月も使える形にしておきましょう。ここまでやって、はじめて時短が積み上がります。
残すのは、この3つ
- 整えた表の形(テンプレート):列の並びを固定したシートを1つ作り、毎月そこに貼るだけにする
- 数式とグラフ:シートに残しておけば、データを貼り替えるだけで自動更新されます
- 聞き方(プロンプト):STEP2で効いた質問文を、ドキュメントかGem(第12回)に保存
📋 月次レポートの型を作らせる
この分析を、毎月繰り返せる形にしたいです。
1. データを貼り付ける用のシートの、列構成を決めてください
2. 集計・グラフが自動で更新される数式の入れ方を教えてください
3. 毎月同じ観点で分析するための、質問文を1つにまとめてください
4. 作業手順を、担当者が見て分かる5行のメモにしてください
※来月は「データを貼るだけ」で終わる状態を目指します。
うごく君のひとこと4番の「担当者が見て分かる5行のメモ」がポイント。自分だけができる状態にしないこと。ここまでやっておくと、第9回の自動化にそのまま乗せられるよ。
結局、どの方法で分析すればいい?
迷ったときの早見表です。データの置き場所と目的で決まります。
| やりたいこと | 方法 | 残るもの | 向き不向き |
| 今すぐ傾向を知りたい | シート内でGeminiに聞く | 会話だけ | 速い。単発向き |
| 来月も自動で計算したい | 数式を書かせる | シートに残る | 定例業務に最適 |
| 複数のシートを横断したい | Geminiにファイル指定 | 会話+書き出し | 比較・統合向き |
| 相場と自社を比べたい | Deep Research+シート | レポート | 第5回と組み合わせ |
| 請求・決算に使う数字 | シートの関数+人の確認 | 検算済みの数字 | AI任せにしない |
費用対効果を「時間」で見える化する
この回は月次の定例業務に効きます。中小企業の現場でよく見る目安です(業務内容により変動します)。
| よくある業務 | これまで | Gemini活用後 | 月あたり |
| 月次売上の集計・分析 | 120分 | 25分 | ▲1.6時間 |
| 関数の調べもの(週3回) | 15分 | 2分 | ▲2.6時間 |
| グラフ作成(月8枚) | 20分 | 3分 | ▲2.3時間 |
| アンケート自由記述の分類(月200件) | 150分 | 20分 | ▲2.2時間 |
| 原価・仕入の推移確認(月4回) | 45分 | 10分 | ▲2.3時間 |
📐 かんたんな損益分岐の出し方
合計 約11時間/月
の削減×
時給2,500円=
月あたり
約27,500円分
しかも初回に型を作れば、翌月以降はさらに短くなります。この回の本当の価値は時間より、これまで見ていなかった数字を見るようになることにあります。
⚠️ 数字を出すときの注意
上の「活用後」には、
STEP1の整え作業とSTEP5の検算を含めています。この2つを省いた試算は、社内で必ず崩れます。含めても十分に速い——それが正直な結論です。
プロが見ている、初心者がやりがちな7つの落とし穴
研修の現場で、実際によく見る順に並べました。心当たりがあるものから直してください。
1️⃣表を整えずにAIに渡す
- 結合セル・小計行・空行があると読み違える
- 直し方:STEP1の5ルール。2分で済む
2️⃣合計を検算していない
- 件数のズレは、静かに起きる
- 直し方:SUMとCOUNTで突き合わせる
3️⃣「集計して」で止める
- 数字が出ただけでは、何も決まらない
- 直し方:原因の候補と打ち手まで一度に頼む
4️⃣AIの「なぜ」を事実として扱う
- 表に無い事情(天候・人員)は考慮されない
- 直し方:候補として受け取り、現場感覚で選ぶ
5️⃣元データを直接いじる
- 戻せなくなる事故が、いちばん多い
- 直し方:必ずコピーを作ってから
6️⃣会話で終わり、シートに残さない
- 来月また同じことを聞くはめに
- 直し方:数式とグラフをシートに入れる
7️⃣請求・決算の数字をAI任せにする
- 社外に出る数字は、間違えると戻せない
- 直し方:シート関数+人の確認を必須に
数字の分析が効く、局面別の使いどころ
まずこの中から、手元にすでにあるデータを1つ選んで試してみてください。
🏗️建設・現場で
- 現場別の原価と粗利を、案件ごとに比較
- 作業日報から、工程別の所要時間を集計
- 資材の仕入単価の推移と、値上げの影響額
- 職人ごとの稼働率と、手待ち時間の把握
🏪店舗・サービス業で
- 時間帯別・曜日別の売上から、シフトを最適化
- メニュー別の粗利と出数で、看板商品を見直す
- アンケートの自由記述を、良い/悪いで自動分類
- 客単価の推移と、値上げ後の変化の検証
🧑💼事務・経営で
- 月次の資金繰り表から、注意月を洗い出す
- 取引先別の売掛回収状況と、遅延の傾向
- 経費の内訳から、削減余地のある項目を抽出
- 残業時間の推移と、部署別の偏り
ここに「自立型AI」が加わると、何が変わるか
Gemini Spark のような自律型エージェントが加わると、毎月1日の朝、前月の分析レポートができている状態が作れます。数字の仕事は、定型的で繰り返しが多いぶん、自動化との相性が非常に良い領域です。
🔭 いちばん大事な前提
自動化できるのは、STEP1で「表の形」を、STEP6で「観点」を固めた業務だけです。毎月バラバラの形で届くデータは、自動化できません。逆に言えば——自動化の準備とは、表の形を決めることです。派手な設定より、ここが本体です。
✅ 自動化しやすい数字仕事 向いている
- 毎月同じ形で届くデータの集計
- 決まった観点での前月比・前年比
- 異常値の検出とアラート
- グラフつき月次レポートの生成
- 自由記述の分類・タグ付け
⛔ 自動化してはいけない数字 要注意
- 請求・見積・決算に使う金額
- 行政・金融機関への提出数値
- 人事評価に直結する個人別の数字
- 検算を経ずに社外へ出す資料
- 顧客の個人情報を含む一括処理
うごく君のひとこと自動化の入口は「毎月やってる、同じ形の集計」を1つ選ぶこと。まずは月次売上あたりからかな。第9回でこの続きをやるよ。
つまずいたときのチェックリスト
集計した合計が、実際と合わない
まず件数を確認してください。「集計に使った行数は?」と聞いて、実際の行数と一致するか見ます。ズレていれば、読み飛ばしか、除外された行があります。原因の多くは、①空欄 ②文字と数字の混在(「1,000円」「未定」)③結合セル、の3つです。STEP1に戻って表を整えるのが、いちばん確実な解決策です。
シートの中からGeminiを呼び出せない
提供状況はプラン・アカウントの種類・提供地域によって異なります。法人アカウントの場合、管理者側で制限されていることもあります。使えない場合は、Geminiの画面から「ドライブの〇〇という表を分析して」と指定すれば、ほぼ同じことができます。結果はドキュメントに書き出せます。
数式を貼り付けたら、エラーになる
よくある原因は3つ。①データの範囲が実際と違う(A1:E500と書いてあるが実際は600行)②列の記号がずれている ③関数名や区切り文字が環境と合っていない。エラー表示をそのままGeminiに貼って「このエラーの直し方を」と聞くのが最短です。表示されているメッセージごと渡すのがコツです。
「なぜ下がったか」の答えが、的外れに感じる
それは正常です。AIは表の中の数字しか見ていません。天候、人員配置、近隣の工事、競合の動き——現場の事情はデータに入っていないからです。候補を出させて、現場の感覚で選ぶのが正しい使い方。逆に、AIが挙げた候補の中に「思ってもみなかったもの」が1つあれば、それだけで十分な価値があります。
Excelのファイルでも使えますか
ドライブにアップロードすれば、多くの場合そのまま扱えます。スプレッドシート形式に変換すると、数式やグラフを書き戻せるので、より便利です。ただしマクロや複雑な機能を使っているファイルは、変換で崩れることがあります。必ずコピーで試してください。
安全に、かしこく使うために
1元データのコピーで作業する
整える作業も、数式を試すのも、必ずコピー上で。「ファイル → コピーを作成」で1秒です。戻せなくなる事故を防げます。
2社外に出る数字は人が確認
請求・見積・決算・提出書類。これらはシートの関数で計算し、人が検算したものだけを使ってください。
3個人が特定できるデータに注意
顧客名簿、従業員の個人別データ、評価に関わる数字。扱ってよい範囲を社内で先に決めてください。集計だけなら、氏名列を外しても成立します。
4「なぜ」は仮説として扱う
AIが挙げる原因は、表の中から読み取った推測です。事実として社内に共有する前に、現場で確認してください。
よくある質問
関数をまったく知らなくても大丈夫ですか?
大丈夫です。むしろ関数が苦手な方ほど、効果が大きく出ます。ただしSUM(合計)とCOUNT(件数)の2つだけは覚えてください。検算に使います。この2つは、セルに「=SUM(」まで打てば範囲を選ぶだけなので、5分で覚えられます。
データが数千行あっても大丈夫ですか?
行数が多いほど、読み飛ばしのリスクは上がります。数千行を超える場合は、①期間や店舗で分割して渡す ②集計自体はシートの関数(ピボットテーブルなど)で行い、その結果の解釈をAIに聞く、という進め方が安全です。件数の確認は、より重要になります。
ExcelとGoogleスプレッドシート、どちらがいいですか?
Geminiを使うなら、スプレッドシートのほうが圧倒的にスムーズです。ドライブ上にあるので、指定するだけで読めます。ただし既存のExcelファイルを無理に全部移行する必要はありません。AIで分析したいものだけ、コピーをドライブに置く——これで十分です。
社員に教えるとき、何から教えればいいですか?
STEP1の「表の整え方」だけで十分です。ここができていない会社では、何を教えても成果が出ません。逆に、表の形が揃った瞬間に、他の回の効果まで一気に上がります。まず全社で表の形を統一する——これが最短の道です。
研修として社内に導入する場合、助成金は使えますか?
人材開発支援助成金など、要件を満たせば活用を検討できる制度があります。ただし対象コース・訓練時間・申請時期などの要件は毎年更新されるため、必ず最新の公募要領と、管轄の労働局へのご確認をお願いします。UGOKU AIでは、要件の整理からご相談いただけます。
理解度チェック(3問・1分)
読んだだけだと、たいてい3日で忘れます。3問だけ答えて、記憶に固定してから閉じてください。
🧠 3問クイズ
選ぶだけ。すぐに答えと解説が出ます。
1AIに数字を分析させるとき、結果の質を最も左右するのはどれ?
正解:表が整っているか。結合セル・途中の小計行・空行があると、AIは項目を取り違えます。人が見やすい表と、AIが読める表は違う。整える2分で、9割が決まります。
2AIの集計を検算するとき、合計のほかに必ず確認すべきものは?
正解:件数。いちばん多い失敗は読み飛ばしです。合計は合っているのに、実は50行が集計から漏れていた——というズレが静かに起きます。SUMとCOUNTの2つで突き合わせてください。
3AIが挙げた「売上が落ちた原因」は、どう扱うべき?
正解:候補として受け取る。AIが見ているのは表の中の数字だけ。天候・人員・近隣の工事といった現場の事情は入っていません。ただし「思ってもみなかった候補」が1つあれば、それだけで十分な価値があります。
このシリーズの進み方(全15回+番外編)
1回あたり10〜15分、上から順に積み上がる設計です。整える→頼む→読ませる→書かせる→調べる→作る→任せる→広げるの順で進みます。
| 回 | テーマ | この回で手に入るもの | 時間 |
| 第1回 | Geminiの基礎 | Googleとつながったワークスペース | 15分 |
| 第2回 | 伝わる頼み方 | 材料を名指しするプロンプトの型 | 10分 |
| 第3回 | ドライブ横断の資料分析 | 探さずに、まとめて要点化する | 15分 |
| 第4回 | Gmail連携のメール術 | 受信トレイを離れずに返信を終える | 10分 |
| 第5回 | Deep Research | 出典つき調査レポートと、裏取りの手順 | 15分 |
| 第6回 | スプレッドシート分析(この記事) | 関数を書かずに集計・グラフ化 | 10分 |
| 第7回 | 画像・動画の制作 | POP・バナー・短尺動画の内製化 | 15分 |
| 第8回 | 会議の準備と議事録 | カレンダー連携と、録音→決定事項 | 10分 |
| 第9回 | タスク自動化 | 定型処理を書かせて消す | 15分 |
| 第10回 | Canvas | 会話ではなく“編集画面”で仕上げる | 10分 |
| 第11回 | Gemini Notebook | 自社資料だけで答える社内辞書 | 15分 |
| 第12回 | Gemの量産 | 役割ごとのAI担当者を並べる | 10分 |
| 第13回 | Workspace展開 | チーム全員の標準にする設定と権限 | 15分 |
| 第14回 | 高度なプロンプト | 自分で考えさせる指示の組み立て | 10分 |
| 第15回 | フルワークフロー | 1〜14をつないだ完全AI自動化システム | 15分 |
| 番外編 | 総括/セキュリティ | 情報漏洩・コンプライアンス・社内規程の型 | 15分 |
合計 約190分(+番外編15分)。第6回で決めた「表の形」は、第9回の自動化の前提条件になります。ここが揃っていない会社は、自動化まで進めません。
COMPLETE
最後まで読んでくれて、ありがとう。
上のチェックを埋めていくと、進み具合がここに出ます。全部でなくて大丈夫。1つでも実際にやった人から、確実に変わっていきます。
0 / 6 ステップ完了
🎓 第6回の宿題
この記事を閉じる前に、手元の表を1つコピーして、AIが読める形に整えてみてください。それだけで第6回は合格です。整った表に「集計+原因の候補+打ち手」を聞けば、その日のうちに効果が出ます。次の第7回では、「POP・バナー・短尺動画を、外注せずに作る」 画像・動画の制作を扱います(所要15分)。