Claude実践シリーズ 第6回 | データ分析

その数字の山は、
10分で「次の一手」になる。

売上表、レジの日次データ、アクセス解析、アンケート。集めたのに、開いていないファイルはありませんか。データ分析はもう専門職だけの仕事ではありません。問いを1行書いて、ファイルを1つ渡す。それだけで、生データは「判断材料」に変わります。

案内役はこの子、うごく君。つまずきやすいポイントを、先回りして教えます。
うごく君より

こんにちは、うごく君です。「データ分析」と聞くと、関数やピボットテーブル、専門の分析ソフトを思い浮かべるかもしれません。でも今日やるのは、もっと単純な作業です。この記事を上から10分やり切ると、次の状態になります。

  • 手元のCSV・Excelをそのまま渡して、集計とグラフ化ができる
  • 「何を聞けばいいのか」——効く問いの型が手に入る
  • AIが出した数字を5秒で検算する方法がわかる
  • 分析結果を「明日やること1行」に変換できる
  • 分析ツール/Excel連携/Cowork=自立型AIの使い分けがわかる
30秒でわかる

「データ分析」って、
結局なにをやることなの?

難しく考えなくて大丈夫。やることは3つだけ。しかも、真ん中の重い部分はAIが引き受けます。

📤

1. 出す
= 生データを取り出す

レジ・会計ソフト・GA4・スプレッドシート。「CSVでダウンロード」を押すだけ。整形も掃除も不要です。

🔍

2. 訊く
= 問いを立てて分析

ここが本体。問いの質=分析の質です。計算・グラフ・仮説検証はAIが数十秒でやります。

🎯

3. 決める
= 一文にして動く

グラフは目的ではありません。「だから明日、何を変えるか」の1行まで落として、はじめて分析です。

CLAUDE MASTER | LESSON 06

第6回:データ分析
― 生データを、明確なインサイトに変換する ―

Excelの関数もプログラミングも使いません。上から順に進めるだけで終わるように作りました。所要時間の目安は合計10分です。

💡 最初にこれだけ

データ分析でつまずく原因は、ほぼ「分析力の不足」ではありません。問いが決まらないまま、数字を眺めていることです。AIは問いを渡せば10秒で答えを出しますが、問いそのものは作ってくれません。この10分でやるのは、問いを1行にして、正しく渡す——ただそれだけです。

なぜ今、「データ分析」が一変したのか

ここ1〜2年で、AIのデータ分析まわりは静かに、しかし決定的に変わりました。ポイントは3つです。

CHANGE 01

AIが「計算する」ようになった

以前のAIは文章生成が本業で、数字は苦手でした。今はチャットの中で実際にコードを書いて実行するサンドボックス(分析ツール)を持ち、集計・統計・グラフ化まで一貫して行います。推測ではなく計算——ここが決定的な差です。

CHANGE 02

Excelの「中」にAIが入った

ファイルをアップロードするのではなく、Excelのサイドパネルに常駐して、複数タブにまたがる数式の依存関係まで読み取る形が登場。2026年5月にはWord・PowerPointとあわせて一般提供へ移行しました。集計→報告書までが1本の線でつながります。

CHANGE 03

「分析する人」が要らなくなった訳ではない

2026年版の中小企業白書では、AI活用が進まない理由の上位に「活用する業務がイメージできていない」(63.4%)「推進する人材が不足している」(40.0%)が並びます。裏を返せば、問いを立てられる人の価値はむしろ上がっています。

CHANGE 04

研修した会社だけが、効果を取れている

同白書では、社内研修を実施した企業の91.4%が「想定した効果が得られた・超えた」と回答。ツールを配るだけでは動きません。使い方を揃えることが、そのまま効果差になっています。

うごく君のひとこと「AIに分析させる」と聞くと大袈裟だけど、要は優秀な新人アナリストが、24時間・数百円で隣に座っている状態。使わない理由のほうが少ないんだ。

失敗しないための、たった3つのルール

RULE 01

「問い」を先に、1行で決める

×「このデータを分析して」→ 何も決まりません。○「先月いちばん売上が落ちた商品はどれで、原因の候補を3つ」。問いが具体的になるほど、答えは実務に刺さります。

RULE 02

生データは「掃除せずに」渡す

整形・結合・不要列の削除はやらなくて大丈夫。むしろ手作業で加工すると、そこでミスが混入します。ダウンロードしたままのCSVを渡し、掃除もAIに指示するのが正解です。

RULE 03

数字は必ず1つだけ検算する

AIは計算しますが、列の読み違いは起こります。出てきた数字のうち1つだけ、自分が知っている実数(先月の売上など)と突き合わせる。ここが合えば、他も概ね信頼できます。

RULE 04

個人情報・機密は「出さない」か「伏せる」

氏名・電話番号・住所・口座は、分析にほぼ不要です。列ごと削除するか、A様・B様に置き換えてから。会社で使うなら、これを先にルール化しておきます。

STEP1
EXPORT | 1分
生データを1ファイル取り出す

最初にやるのは、たったこれだけ。「エクスポート」「CSVでダウンロード」「ファイル → ダウンロード」のいずれかを押します。きれいにする必要はありません。

よくある取り出し元
  • 会計・販売管理ソフト:試算表/売上明細/得意先別集計を CSV 出力
  • レジ(POS):日次・時間帯別・商品別の売上をCSVでダウンロード
  • Googleスプレッドシート:ファイル → ダウンロード → .csv または .xlsx
  • GA4(アクセス解析):レポート右上の共有アイコン → ファイルをダウンロード
  • Googleフォーム(アンケート):回答タブ → スプレッドシートにリンク → ダウンロード
  • 紙・手書き台帳:スマホで撮影した画像をそのまま添付でもOK(読み取ってくれます)
⚠ ここだけ注意
1行目は見出し行(列名)にしておくと精度が上がります。「日付」「商品名」「数量」「金額」など。セル結合や、表の上にある装飾タイトル行は、あれば消しておくとより確実です(無理なら、そのままでも構いません)。
うごく君のひとこと「データが汚いから分析できない」は、いちばんよくある思い込み。汚いまま渡して、掃除もお願いするのが今のやり方だよ。
STEP2
QUESTION | 1分
問いを1行に絞る

この1分が、10分全体の成果を決めます。おすすめは、次の3タイプのどれかに当てはめること。

  1. 比較型:AとBで、どちらが/どこが違うのか(前年同月比、店舗別、曜日別、媒体別)
  2. 異常検知型:いつもと違うのはどこか(急に落ちた日、伸びた商品、外れ値)
  3. 要因分解型:この結果は、何で構成されているのか(売上=客数×客単価×来店頻度)
問いの良し悪し
✕ ふわっとした問い
「このデータを分析して、気づいたことを教えて」
→ 平均と合計が並ぶだけの、当たり障りない要約が返る。
◯ 効く問い
「直近3か月で、粗利額が前月比マイナスになった商品を上位5つ。それぞれ、数量減か単価減かも分けて」
→ そのまま会議に出せる表が返る。
うごく君のひとこと問いが思いつかないときは、「この数字が悪かったら、自分は誰に何を言われるか」を想像してみて。それが、いちばん切実な問いだよ。
STEP3
ANALYZE | 2分
ファイルを渡して、計算させる

チャットの入力欄に、CSV・Excelをドラッグ&ドロップ(またはクリップのアイコンから選択)。複数ファイルを同時に渡して「この3つを統合して比較して」も可能です。

Claude を開く ↗
コピペで使える:基本の分析依頼
📋 PROMPT 01 | 基本の分析依頼
添付したデータを分析してください。

【データの説明】
・〇〇店の2026年1月〜6月の日次売上データです
・列の意味:A列=日付、B列=商品名、C列=数量、D列=売上金額(税抜)

【知りたいこと】
粗利額が前月比でマイナスになった商品を上位5つ。それぞれ「数量が減った」のか「単価が下がった」のかも分けて示してください。

【お願いしたい進め方】
1. まずデータの行数・期間・欠損や異常値の有無を報告してください
2. 集計の前に、あなたが立てた前提(どの列をどう使ったか)を明示してください
3. 結果は表で示し、最後に「わかったこと」を3行以内でまとめてください
4. 推測が混じる箇所には必ず「※推測」と書いてください
この4行が効く理由
  • 列の意味を教える:AIの最大の誤りは「列の読み違い」。ここを潰すと精度が跳ね上がります
  • 前提を明示させる:どう計算したかが見えるので、間違いをその場で指摘できます
  • 3行のまとめを要求:長文の分析レポートは、結局誰も読みません
  • 推測に印をつけさせる:事実と解釈の境目がはっきりします(いちばん重要)
⚠ 数字が返ってきたら、必ずこれ
合計売上はいくらでしたか?」と1つだけ聞いて、自分が知っている実数と照合してください。ここがズレていたら、それ以降の分析はすべて無効です。列の指定をやり直しましょう。
STEP4
DIG | 2分
「なぜ?」を3回、追撃する

1回目の回答は「事実の整理」です。インサイト(示唆)は、2回目以降の質問から出てきます。ここを省略する人が9割。差がつくのは、まさにここです。

コピペで使える:深掘りの3連発
📋 PROMPT 02 | 深掘り3連発
いまの結果について、順番に答えてください。

① なぜそうなったのか、データから読み取れる原因の候補を3つ、
   「その根拠となる数字」とセットで挙げてください。
   データから読み取れないものは「データ外の仮説」として分けてください。

② その3つのうち、いちばん影響が大きいのはどれですか。
   影響度を金額または%で概算し、根拠を示してください。

③ 逆に、この結論が間違っているとしたら、どんな見落としが考えられますか。
   反証・データの偏り・期間の切り方の問題を指摘してください。
③が最重要である理由

AIは「求められた結論」を補強しがちです。あえて反証を書かせることで、都合のいい物語に乗せられるのを防げます。たとえば「6月の売上減はキャンペーン終了が原因」と言われたら、③で「梅雨の長雨」「競合の新規出店」「集計期間が1日短い」といった見落としが出てきます。

うごく君のひとことAIは「反対意見を言って」と頼めば、ちゃんと言ってくれる。頼まないと、ずっと味方でいようとするんだ。ここは意識して使い分けてね。
STEP5
VISUALIZE | 2分
グラフ・ダッシュボードにして視える化

数字の表は、会議で共有した瞬間に「読まれない資料」になります。1枚の図にしましょう。作図もAIの仕事です。

コピペで使える:ダッシュボード化
📋 PROMPT 03 | 1画面ダッシュボード
いまの分析結果を、1画面で見られるダッシュボードにしてください。

【構成】
・上段:重要指標を4つ、大きな数字+前月比の増減で
・中段:月次推移の折れ線グラフ商品別の構成比
・下段:注意が必要な項目のリスト(赤字表示)

【条件】
・スマホでも読める文字サイズにしてください
・専門用語は使わず、パート従業員でも意味がわかる言葉で
・数値の単位(円・件・%)を必ず明記してください
グラフの選び方(迷ったらこれだけ)
見せたいこと使うグラフひとこと
時間の変化折れ線売上推移・来客推移。3年分並べると季節性が見える
大小の比較横棒商品別・店舗別。項目名が長くても読める
構成比積み上げ棒円グラフより、時系列で並べられる分だけ有利
関係性散布図気温と売上、広告費と問い合わせ数など
優先順位づけパレート図「上位20%で売上の80%」を確認する定番
⚠ グラフの落とし穴
縦軸をゼロから始めていないグラフは、わずかな差を大暴落に見せます。AIが作った図でも、軸の開始値は必ず確認を。「縦軸は0から始めてください」と一言添えるのが安全です。
STEP6
DECIDE | 2分
「明日やること1行」に変換する

ここまでは、まだ分析ではありません。意思決定に変わって、はじめて分析です。最後の2分で、必ずこれをやってください。

コピペで使える:意思決定への変換
📋 PROMPT 04 | 意思決定への変換
ここまでの分析を、意思決定できる形にまとめてください。

【出力フォーマット】
■ 結論(1行)
■ 根拠となる数字(3つまで)
■ 明日から実行できる打ち手(3つ/それぞれ担当・期限・想定効果を金額で)
■ 効果を測る指標(何が、いつまでに、いくつになれば成功か)
■ やらない方がいいこと(1つ)

【条件】
・読み手は現場の店長(数字が専門ではない)です
・カタカナのビジネス用語は使わないでください
・全体で400字以内に収めてください
これで完成する「分析の型」

10分で回る、1本の流れ

① 生データを出す ② 問いを1行 ③ 渡して計算 ④ なぜ?を3回 ⑤ 図にする ⑥ 明日の1行

この6つは、どんな業種のどんなデータでも同じです。焼肉店の日次売上でも、建設現場の工数でも、SNSの反応データでも、家計簿でも。型は1つ、あとは差し替えるだけ。

10分の分析・最終チェックリスト

① 生データはダウンロードしたまま渡したか
手作業の整形は、ミスの入口です。1行目が列名になっていれば、それで十分。
② 列の意味を、AIに伝えたか
「A列=日付、D列=税抜売上」の一文があるかないかで、精度が大きく変わります。
③ 問いは1行になっているか
「分析して」ではなく「◯◯を上位5つ、理由も」。具体的であるほど実務に刺さります。
④ 数字を1つ、実数と照合したか
合計売上・総件数など、自分が知っている数を1つだけ突き合わせる。5秒で済みます。
⑤ 「反証」を書かせたか
見落とし・偏り・期間の切り方。ここを飛ばすと、都合のいい結論に着地します。
⑥ 個人情報の列は外したか
氏名・電話・住所・口座は分析に不要。削除するか、A様・B様に置換してから。
⑦ 「明日やること1行」まで落としたか
グラフで終わると、翌週には誰も覚えていません。担当・期限・想定効果まで書く。
⑧ 使ったプロンプトを保存したか
同じ分析は毎月来ます。プロジェクト機能やメモに残せば、翌月は3分で終わります。

「どこで分析するか」の使い分け表

同じ分析でも、置き場所によって手間と精度が変わります。まずは①だけで十分。慣れたら下に降りてください。

場所向いている用途難易度注意点
① チャットに添付単発の分析、月次の振り返り、アンケート集計★☆☆ いちばん簡単ファイル容量・行数に上限あり。巨大データは分割を
② 分析ツール正確な集計、統計、グラフ生成、ダッシュボード★☆☆ 有効化するだけ計算過程(コード)を開いて確認できる。これが安心材料
③ Excel連携財務モデル、数式の依存関係がある帳票、複数タブ★★☆ アドイン導入有料プランが必要。VBA(マクロ)の直接実行は非対応
④ Cowork(自立型)複数ファイルの整理→分析→報告書まで一気通貫★★☆ デスクトップ非エンジニア向け。実行前に何をするか確認する運用を
⑤ 社内DB接続基幹システム・BIの数字を継続的に分析★★★ 情シス案件アクセス権限の設計が先。ここは専門家と一緒に

迷ったら、この順番で

まず①で1回やってみる ②を有効化して精度を上げる 毎月やる分析だけ③④に移す

最初から⑤を目指すと、たいてい止まります。①で成功体験を1つ作るのが、いちばん速い道です。

分析が効く「お願いの型」= D・O・K・Q

分析のプロンプトは、4つの要素を並べるだけ。順番も覚えなくて大丈夫です。

D
Data / データの説明何のデータか、期間、各列の意味。ここが精度の8割。
O
Objective / 目的何を決めたいのか。「値上げの判断のため」など背景まで。
K
Kind / 出力の形表・グラフ・3行要約・400字レポート。形を指定する。
Q
Quality / 品質条件前提を明示・推測に印・反証も書く・単位を明記。
✕ よくある依頼
「売上データを分析して、改善案を出して」
→ どこにでもある一般論が返る。使えない。
◯ D・O・K・Q を入れた依頼
「【D】焼肉店3店舗の2026年1〜6月の日次売上(A=日付/B=店舗/C=客数/D=税抜売上)。【O】どの店のどの曜日にテコ入れするか決めたい。【K】店舗×曜日の表と、上位3つの改善案を各100字。【Q】前提を明示し、推測には※を、最後に反証も。」
→ そのまま店長会議に出せる。
うごく君のひとことこの型は、一度メモ帳やプロジェクトの指示欄に貼っておけば、次からは穴埋めするだけ。毎回考えなくていいのが、いちばんの時短だよ。

この10分を、どこで活かすか

「うちにはデータなんてない」——ほぼ全ての方がそう言いますが、実際には毎日発生しています。

🏪店舗・飲食

  • 日次売上×天気×曜日で、仕込み量とシフトを決める
  • メニュー別の粗利率を出し、看板商品と赤字商品を仕分ける
  • クチコミの文章を全部貼って、不満の頻出テーマを抽出
  • 時間帯別の客数から、ピークに合わせた人員配置を組む

🏗️建設・製造

  • 現場別の実行予算と実績を比較し、赤字現場の共通点を探す
  • 作業日報から工数を集計し、見積の歩掛りを実態に合わせる
  • 資材の仕入価格推移から、値上げ交渉のタイミングを掴む
  • 不良・手戻りの記録を分類し、上位3原因に対策を集中

📣営業・集客

  • 問い合わせ経路別の受注率とCPAを出し、広告費を配分し直す
  • 失注理由のメモを分類して、提案書のどこを直すか決める
  • SNSの投稿データから、反応が高い時間帯・型を特定する
  • 既存顧客の購買履歴から、離反しかけている先を洗い出す

🧾経理・総務・人事

  • 試算表を複数期まとめて渡し、増減の異常値を先に見つける
  • 経費データから、削れる固定費と削れない固定費を分ける
  • 勤怠データで残業の偏りを可視化し、業務を再配分する
  • 採用の応募〜内定の歩留まりを段階別に出し、詰まりを特定

🏠私生活・家計

  • クレカ明細のCSVを渡して、サブスクの重複を洗い出す
  • 家計簿アプリの出力から、来年の貯蓄計画を逆算する
  • 電気・ガスの使用量推移から、契約プランを見直す
  • 子どものテスト結果を蓄積し、伸びる単元・落ちる単元を把握

🏃健康・趣味・学び

  • スマートウォッチの記録から、睡眠と翌日の調子の関係を見る
  • ランニングのラップから、失速するポイントと対策を出す
  • 読書・学習の記録を集計して、続く時間帯を特定する
  • ふるさと納税・保険の比較表を作り、条件別に最適解を出す

ここに「自立型AI」が加わると、何が起きるか

ここまでは、あなたが毎回ファイルを渡す前提の話でした。自立型(エージェント型)のAIは、その渡す作業ごとを引き受けます。

1データを取りに行く

コネクタで会計ソフト・スプレッドシート・メールとつなぐと、AI側が必要なファイルを自分で開きます。「先月の試算表を見て」で完結します。

2手順を分解して自走する

「3店舗の月次を比較して報告書に」と頼めば、集計→比較→作図→文書化を、ステップに分けて自分で進めます。人は結果を確認するだけ。

3Excel・資料まで一気通貫

Excelで集計した内容を、そのままPowerPointのスライドやWordの報告書に反映。「表計算 → 会議資料」の往復が消えます。

4定例レポートが自動になる

毎月1日の売上速報、毎週月曜の広告実績。同じ形式の分析は、型を1度作れば繰り返し実行できます。人がやるのは異常時の判断だけ。

コピペで使える:定例レポートの型づくり
📋 PROMPT 05 | 毎月使い回す分析テンプレ
この分析を「毎月そのまま使えるテンプレート」にしてください。

【出力してほしいもの】
1. 毎月コピペで使えるプロンプト(データ部分だけ差し替える形)
2. 毎月チェックすべき指標のリスト(5つまで/各指標の警戒ライン付き)
3. その指標が警戒ラインを超えたときに、最初に見るべきデータ
4. この分析を担当者に引き継ぐための手順書(400字以内)

【条件】
・専門知識のない担当者が、1人で回せる粒度にしてください
・毎月の作業時間が15分以内に収まる設計にしてください
⚠ 自立型に任せる前の、3つの約束
読むだけから始める(書き込み・送信の権限は、慣れるまで渡さない)。
実行前に手順を報告させる(「何をするか先に教えて」と指示に入れる)。
金額の決定は人が握る(発注・値付け・支払いは、必ず人の承認を挟む)。
自立型は速い分、間違いも速く広がります。権限は「小さく始めて、実績を見て広げる」が鉄則です。
うごく君のひとこと自立型を入れる前に、まずは手動で3回やってみて。3回やると「毎回やってる無駄」が見えてくる。そこだけを任せるのが、いちばん失敗しない順番だよ。

費用対効果を、数字で確かめる

「AIにお金を払う価値があるのか」——ここを曖昧にしたまま導入すると、3か月で止まります。計算式は単純です。

🧮 計算式

削減時間(時間/月)× 時間単価(円)- 月額利用料(円)= 月間の効果額
※時間単価は「その人の年収 ÷ 年間労働時間」で概算。年収450万円・年1,800時間なら約2,500円。

作業これまでAI活用後月間削減
月次の売上集計・グラフ化4時間0.5時間3.5時間
店舗別・商品別の比較分析3時間0.5時間2.5時間
アンケート・クチコミの集計3時間0.3時間2.7時間
会議資料への作図・清書2時間0.3時間1.7時間
異常値の発見(今までは見逃し)実施せず0.5時間効果は別枠
合計12時間2.1時間約10時間

1人あたりの月間効果(概算)

10時間 × 2,500円 = 25,000円 月額 約3,000円 月 約22,000円のプラス

これはあくまで時間削減だけの計算です。実際の価値は「今まで見えていなかった赤字商品が見つかる」「値上げの根拠が数字で出せる」といった意思決定の質のほうにあります。そちらは金額換算しにくいぶん、効果は桁が違います。

⚠ 効果を出せない会社の共通点
導入したのに効かない会社は、たいてい「誰がいつ何を分析するか」が決まっていないだけです。ツールの問題ではありません。月次で1つ、担当者と締切を決める——これだけで、効果は出はじめます。

AI分析の「落とし穴」6つ ― 先に知っておく

便利な分だけ、間違えたときの影響も大きくなります。ここは飛ばさずに読んでください。

1もっともらしい数字が返る

AIは自信たっぷりに間違えます。必ず1つだけ実数と照合。計算過程を開いて、どの列をどう使ったかを見るのがいちばん確実です。

2相関を因果と言い切る

「気温が上がると売上が上がる」は相関。原因とは限りません。「これは相関ですか、因果ですか」と一言聞くだけで、答えの質が変わります。

3データの偏りに気づけない

アンケートに答えるのは、たいてい熱心な顧客か強い不満を持つ人です。「誰のデータが入っていないか」を必ず確認しましょう。

4期間の切り方で結論が変わる

3か月で見れば下降、3年で見れば上昇。複数の期間で見せてと頼み、都合のいい切り方をしていないか確認します。

5個人情報・機密の持ち出し

顧客名簿・カルテ・給与明細をそのまま貼らない。不要な列は削除し、会社で使うなら「入れていい情報」の線引きを先に決めます。

6分析が目的化する

きれいなグラフを作っただけで満足しがち。「で、明日何を変える?」に答えられないなら、その分析はまだ終わっていません。

このシリーズの進み方

1第1回:正しいAIワークスペースの設定

アカウント・プラン・メモリ・スタイル・プロジェクト・接続まで15分で。すべての土台になる回。

2第2回:プロンプトエンジニアリング

同じAIでも、頼み方で結果は10倍変わる。5大要素の黄金テンプレと、うまくいかないときの直し方。

3第3回:ドキュメント分析

PDF・議事録・契約書を数分で要約・分析。間違えさせない、資料の渡し方のコツ。

4第4回:メール&コミュニケーション

数秒でプロのメールを。依頼の5要素・トーン3段階・テンプレ資産化・送信前チェックまで10分で。

5第5回:リサーチ&レポート

調査レポートの自動生成。問いの立て方・ツールの使い分け・出典チェック・配布まで15分で。

6第6回:データ分析(この記事)

生データを、明確なインサイトに変換する10分。問いの型・検算・可視化・意思決定まで。

7第7回:自立型AIに任せる

コネクタ・スキル・Coworkで、作業そのものを渡す。安全に運用するための社内ルールづくりまで。(近日公開・仮題)

うまくいかない・困ったとき

ファイルをアップロードできない/エラーが出る
よくある原因は3つ。①ファイル形式(.csv .xlsx が確実。.xlsは変換を)②サイズ・行数の上限(期間を分けて2ファイルに)③パスワード付きファイル(解除してから)。それでもダメなら、必要な範囲だけコピーして本文に貼り付けても分析できます。
数字が明らかに合っていない
ほぼ「列の読み違い」です。「A列=日付、D列=税抜売上です。この前提で再集計してください」と伝え直してください。それでも合わないときは、見出し行が2行になっている・小計行が混ざっている・数値が文字列になっている、のいずれかを疑います。
回答が長すぎて読む気にならない
出力の形を指定していないためです。「結論を3行、根拠を表で、全体400字以内」と条件を足すだけで、実務で使える長さになります。
グラフが表示されない・崩れる
分析ツール(コード実行)が有効になっているか確認を。設定から機能を有効化すると、グラフやダッシュボードが描けるようになります。それでも崩れる場合は「日本語のラベルが文字化けしないようにしてください」と一言添えてください。
同じ分析を毎月やるのが面倒
プロジェクト機能に「毎月の分析ルール」と過去データを入れておけば、翌月はファイルを入れるだけになります。PROMPT 05 でテンプレ化しておくのがおすすめです。
そもそも、うちにデータがない
ほぼ確実にあります。レジの売上履歴、通帳、請求書、LINEの予約履歴、Googleビジネスプロフィールの閲覧数、勤怠の打刻。手書きの日報でも、撮影して渡せば分析対象です。「無い」のではなく「取り出していない」だけ、というケースが大半です。
社内に反対されている
正論より「小さな実績」が効きます。誰も見ていない数字を1つ分析して、10分で1枚の図を作って見せる。反対の多くは「よく分からないから怖い」であって、成果が見えると態度は変わります。

よくある質問

無料プランでもデータ分析はできますか?
基本的な添付・集計は無料プランでも可能ですが、1日に使える量に制限があり、途中で止まることがあります。月次で継続するなら有料プラン(月額3,000円前後)が現実的です。Excelアドインなど一部機能は有料プランのみの提供です。
Excelが使えなくても大丈夫ですか?
大丈夫です。むしろ関数を知らない方のほうが、素直に日本語で頼めるぶん上達が早い傾向があります。必要なのは「CSVでダウンロードを押す」操作だけです。
会社のデータを入れて、情報漏洩しませんか?
法人向けプランでは、入力内容を学習に使わない設定が標準です。ただしプラン・契約形態によって条件は異なるため、必ず利用中のプランの規約を確認してください。そのうえで「個人情報・未公開の財務情報は入れない」という社内ルールを先に決めるのが、いちばん確実な対策です。
ChatGPT・Geminiとどちらが良いですか?
どれでも分析はできます。長文の読み解きと文章化の自然さではClaude、画像生成を含む万能さではChatGPT、Google系サービスとの連携ではGeminiに強みがあると言われます。まずは1つを使い倒すのが正解で、複数を並行して中途半端になるのがいちばんもったいないパターンです。
専門の分析ソフト(BIツール)は不要になりますか?
用途が違います。BIツールは「決まった指標を、毎日自動で見る」ためのもの。AIは「その場で思いついた問いに、すぐ答える」ためのもの。併用するのが最も強く、片方だけで代替はできません。
分析の結果を、経営判断にそのまま使っていい?
最終判断は必ず人が行ってください。AIの分析は「たたき台の質を劇的に上げるもの」であって、責任を引き受けるものではありません。金額の大きい判断ほど、根拠となる元データを自分の目で確認してください。
社内で研修としてやるには?
おすすめは「各部署が自分のデータを1つ持ち寄って、その場で分析する」形式です。他社事例より、自社の数字が動いたほうが定着します。人材開発支援助成金(リスキリング支援コース)の対象になるケースもあります。料金と助成金を見る →
🎯 この記事のまとめ

データ分析の勝負どころは、計算ではなく問いです。生データをそのまま渡し、問いを1行で決め、数字を1つ検算し、最後に「明日やること1行」まで落とす。この6ステップさえ回れば、あなたの会社の数字は、今日から判断材料に変わります。まずは、いちばん気になっているファイルを1つ、開いてみてください。

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