Claude実践シリーズ 第11回 | 所要15分

AIに「頼む」から、
席を譲るへ。

Claudeが、あなたのマウスとキーボードを使って、画面の中で作業を終わらせる——それがComputer Use(コンピュータ操作)です。2026年3月に登場したこの機能を、専門知識ゼロの方が15分で安全に立ち上げるための手順書です。

案内役はこの子、うごく君。「怖い」の正体と、その外し方から教えます。
うごく君より

こんにちは、うごく君です。「AIがパソコンを勝手に触るなんて、怖くない?」——正しい感覚です。だからこの回は、できることを増やす前に、触らせない範囲を決めるところから始めます。上から15分やり切ると、こうなります。

  • Computer Useが何で、何ではないかが一言で説明できる
  • 自分のパソコンで安全に試せる「練習部屋」ができる
  • 最初の1タスクが動き、成功と失敗の見分け方が分かる
  • 任せる指示の型(ゴール・成果物・停止条件)が手に入る
  • スマホから頼んで、机の上で仕上がっているDispatchが使える
  • 会社で使うときの禁止事項と、費用対効果の数字が出せる
30秒でわかる

Claudeが「手を動かす」
3つの手段と、その優先順位

Computer Useは最強の手段ではなく、最後の手段です。Claudeは正確で速い順に手段を選びます。この順番を知っているかどうかが、成功率をいちばん左右します。

🔌

1. コネクタ
= 正規の入口(最優先)

Slack・Googleカレンダー・ドライブなど、公式の連携で直接つなぐ方法。いちばん速く、いちばん間違えません。

🌐

2. ブラウザ操作
= Webの中で完結

コネクタが無いサービスは、ブラウザを操作して用を足します。画面全体を触るより被害範囲が小さい方法です。

🖱️

3. 画面操作(Computer Use)
= 最後の手段

スクリーンショットを見て、マウスとキーボードで人と同じように操作。どんな古いソフトでも動かせる反面、いちばん遅く、いちばん慎重さが要ります。

CLAUDE MASTER | LESSON 11

第11回:Computer Use
― デスクトップ上でClaudeを操作させる ―

パソコンが得意でない方でも、上から順に進めるだけで終わるように作りました。所要時間の目安は合計15分です。

💡 最初にこれだけ

Computer Useは「AIが賢くなった話」ではなく、AIに“作業机”を渡す話です。だから成果を決めるのは能力ではなく、渡す机の広さ(=権限の設計)。狭く始めて、成功したぶんだけ広げる。この順番さえ守れば、誰でも安全に始められます。

なぜ今、「画面を触るAI」なのか

2年かけて、技術と製品の両方が実用ラインに届きました。数字で見ると分かりやすいです。

POINT 01

精度が「使えない」から「任せられる」へ

パソコン操作の能力を測るベンチマーク(OSWorld)で、Anthropicが公表したスコアは2024年10月の14.9%から、2025年9月には61.4%へ。1年で約4倍です。「たまに成功する」から「だいたい成功する」に変わったのが、この2年でした。

POINT 02

それでも「研究プレビュー」のままな理由

精度が上がってもラベルは慎重なままです。ボトルネックはAIの賢さではなく、権限をどう区切るか・失敗を誰が確認するかという運用側の設計。つまり、勝敗を分けるのは使う側の準備です。この記事はそこを埋めます。

ここまでの流れ(2026年の主な動き)

時期できごと意味
2026年1月Claude Cowork(自律型の作業アプリ)登場まずファイル操作を任せられるように
2026年3月17日Dispatch(スマホから継続依頼)外出先から机の上の作業を動かす
2026年3月23日Computer Use 研究プレビュー開始(macOS)Cowork/Claude Codeが画面を操作
2026年4月3日Windowsにも拡大国内の業務PCの多数派が対象に
2026年7月7日Coworkがブラウザ・スマホにも拡大(ベータ)ただし画面操作はデスクトップ側の話

失敗しないための、たった2つのルール

RULE 01

いきなり「本番の机」で試さない

初日は、コピーしたフォルダ・ダミーの資料・練習用の画面だけで試します。銀行アプリ、給与ソフト、顧客名簿を開いたままにしない。これだけで、事故のほとんどは起きません。

RULE 02

「取り消せない操作」は人が押す

送信・削除・支払い・申請の確定——この4つはAIに実行させず、直前まで作らせて人が最後のボタンを押す。責任の所在も、精神衛生も、これで守れます。

うごく君のひとことComputer Useは「新人に自分のパソコンを貸す」のと同じだよ。有能でも、初日にいきなり請求業務は任せないよね。順番はそれとまったく同じでいいんだ。
STEP1
3分 | 前提の確認
使える環境かどうかを、先に確かめる

Computer Useは、ブラウザ版のチャットではなくパソコンにインストールするデスクトップアプリの機能です。まずここを間違えないでください。

3つの条件
  • プラン:Claude Pro または Max(研究プレビューとして提供。無料プランは対象外)
  • OS:macOS または Windows のデスクトップアプリ
  • 入口:Claude Cowork(一般業務向け)または Claude Code(開発者向け)
デスクトップアプリを入手する ↗
  1. デスクトップアプリを入れ、第1回で決めた同じ入口でログイン
  2. アプリを最新版に更新する(機能が出てこない原因の第1位)
  3. Cowork(またはClaude Code)を開く
  4. 設定・メニューからコンピュータ操作(Computer Use)を有効化
⚠️ 会社支給のPCの場合
IT管理者がインストールや権限付与を制限していることがあります。勝手に入れないのが鉄則。「業務効率化の検証のため、指定フォルダのみで試したい」と目的・範囲・期間を書いて申請してください。この一手間が、社内展開のときに効いてきます。
STEP2
2分 | 権限
OSの許可を、必要な分だけ渡す

AIが画面を「見る」「触る」ためには、OS側の許可が要ります。ここが未設定だと、指示しても何も起きない/途中で止まるという症状になります。

  1. アプリが求める許可のダイアログを、飛ばさずに読む
  2. macOSはシステム設定 → プライバシーとセキュリティ「アクセシビリティ」(操作するため)と「画面収録」(見るため)を許可
  3. Windowsも同様に、アプリからの操作許可を承認する
  4. 許可を入れたら、アプリを再起動(反映されない原因の第2位)
  5. あとで外せるように、どこで許可したかをメモしておく
同時にやっておく「片づけ」
  • 機密のウィンドウを閉じる:会計・給与・顧客名簿・銀行のページは閉じる
  • ブラウザを分ける:業務用プロファイルと、AIに触らせる検証用を分離する
  • 通知をオフ:作業中にポップアップが出ると、誤クリックの原因になります
  • ディスプレイは1枚に:マルチモニターは挙動が読みにくく、初回は不利です
うごく君のひとこと「見える範囲=渡した情報」だと思ってね。画面に映っているものは、そのままAIの目に入る。だから“机の上を片づけてから座らせる”のが、いちばん簡単なセキュリティ対策なんだ。
STEP3
2分 | 練習部屋
安全に失敗できる「サンドボックス」を作る

いきなり本番データで試すのが、いちばんの失敗パターン。壊れても困らない場所を1つ作ってから始めます。3分でできます。

  1. デスクトップに AI検証 というフォルダを作る
  2. その中に 入力 出力 バックアップ の3つを作る
  3. 本物の資料はコピーだけ入力 に置く(原本は絶対に置かない)
  4. Coworkで作業フォルダとして AI検証 だけを許可する
  5. 個人情報が含まれる資料は、名前・電話番号を伏せてから入れる
置いてよい 練習に向く資料
  • 公開済みのチラシ・パンフレット・HP原稿
  • 数字をダミーに置き換えた売上表
  • 過去の議事録(社名・個人名を伏せたもの)
  • 自分で撮った写真、自分宛の資料
置かない 練習に使ってはいけない資料
  • 顧客の氏名・住所・電話番号を含む名簿
  • 口座情報・カード情報・パスワード一覧
  • 未公開の見積・原価・給与データ
  • 他社から預かった秘密保持契約の対象資料
⚠️ バックアップは「AIに触らせない場所」へ
同じフォルダ内にバックアップを置くと、片づけの巻き添えで一緒に動かされることがあります。別ドライブ、またはクラウドの別フォルダに退避してから始めてください。
STEP4
3分 | 初回テスト
最初の1タスクで、動作と“癖”を確かめる

いきなり複雑な業務を頼まないでください。成否がひと目で分かる小さな作業を1つ。ここで動けば、権限設定は合格です。

📋 ① 動作確認(30秒で終わる最小テスト)
コンピュータ操作を使って、次を実行してください。
1. 「AI検証/出力」フォルダに test.txt を新規作成
2. 中身に今日の日付と「動作確認OK」と書く
3. 保存したら、実行した手順を箇条書きで報告

途中でうまくいかない場合は、勝手に別の方法を試さず、
その場で止まって私に状況を教えてください。
📋 ② 実務の入口(いちばん反響が大きい定番)
「AI検証/入力」フォルダの中を整理してください。

【ルール】
・種類別(請求書/写真/資料/その他)にサブフォルダを作る
・ファイル名は「YYYYMMDD_種類_内容」に統一
・判断に迷うファイルは動かさず、一覧にして最後に報告
・削除は絶対にしない(不要そうなものは「要確認」へ移動)

作業前に、これから何をするかの計画を先に見せてください。
見るべきは「結果」ではなく「経過」
  • 計画を先に出したか:いきなり動き出すより、確認してから動くほうが安全です
  • 止まるべきところで止まったか:迷ったら聞き返せる指示になっているか
  • 報告が具体的か:「整理しました」ではなく、どのファイルをどこへ動かしたか
  • 速度感:画面操作はコネクタより明らかに遅い。これは仕様です
うごく君のひとこと最初の1回で「速い!」と感動する人は少ないよ。むしろ「自分でやったほうが早い」と感じるはず。価値が出るのは2回目以降と、自分がその場にいないとき。そこを見誤らないでね。
STEP5
3分 | 指示の型
任せる指示には「停止条件」を入れる

チャットの指示と、作業を任せる指示は別物です。会話は「良い答え」を求めますが、作業は「どこで止まるか」まで決めて初めて任せられます。

1
ゴール何が終わったら完了か(状態で書く)
2
成果物どこに、どんな形式で残すか
3
手段の制限触ってよいアプリ・フォルダ・範囲
4
停止条件迷ったら止まる・確定操作はしない
✕ 事故になりやすい指示
「請求書フォルダをきれいにしといて」
→ 範囲も停止条件も無い。削除されても文句が言えない
◎ 任せられる指示
「入力フォルダ内のPDFだけを、種類別に移動。削除禁止。迷ったら止めて報告」
→ 失敗しても、被害が“移動”で止まる
📋 そのまま使える「任せる指示」テンプレ
【お願いしたいこと】
〔例:先月の請求書PDFから一覧表を作る〕

【完了の定義】
〔例:出力フォルダに一覧.xlsxがあり、日付・取引先・金額の3列が埋まっている〕

【触ってよい範囲】
・フォルダ:〔AI検証/入力 と AI検証/出力 のみ〕
・アプリ:〔Excel と ブラウザのみ〕

【禁止事項】
・ファイルの削除、メールの送信、支払い・申請の確定は行わない
・上記の範囲外のフォルダ・アプリは開かない

【止まるルール】
・判断に迷ったら作業を止め、選択肢を挙げて私に聞く
・同じ操作を2回失敗したら、そこで止めて状況を報告する

【最後に】
実行した手順と、確認してほしい点を箇条書きで報告してください。

コツはひとつだけ。「やってほしいこと」より「やってほしくないこと」を先に書く。禁止事項が具体的なほど、任せられる範囲は広がります。

STEP6
2分 | 遠隔と定例化
スマホから頼み、机の上で受け取る

Computer Useの本当の価値は「速さ」ではなく「自分がその場にいなくても進むこと」。ここで効いてくるのがDispatchです。

Dispatchでできること
  • 移動中にスマホから依頼して、会社のデスクトップ側で作業を進めてもらう
  • ひとつづきの会話として続くので、スマホ⇄PCで説明し直さなくていい
  • 終わったら通知が届き、戻ったときには成果物ができている
現場で効く使い方
  1. 朝の移動中に「昨日の日報3件を要約して、月次シートに追記して」
  2. 現場から「この写真を報告書テンプレに貼って、PDFで出力しておいて」
  3. 会食前に「明日の来客資料を印刷用に整えて、出力フォルダへ」
  4. 定例作業はスケジュール実行に登録して、毎週自動で回す
⚠️ 遠隔で任せるときの3点
①PCをスリープさせない設定を確認する。②席を外す前に画面を片づける(機密ウィンドウを閉じる)。③戻ったら必ず作業ログを見る。遠隔ほど「終わったこと」より「何をしたか」の確認が大事です。
うごく君のひとことここまでで第11回は合格! ちなみにCowork自体は2026年7月からブラウザやスマホでも動くようになったけど、“あなたの画面を直接触る”のはデスクトップアプリだけ。ここは混同しやすいから覚えておいてね。

15分の導入・最終チェックリスト

やること目安できたか
プラン・OS・アプリの前提を確認3分
OSの権限(操作・画面)を許可して再起動2分
「AI検証」フォルダで練習部屋を作る2分
test.txt作成テストで動作確認3分
「任せる指示」テンプレを保存する3分
Dispatchでスマホから1件依頼してみる2分

「どの手段で頼むか」の使い分け表

画面操作は万能ですが、遅く、失敗もします。速い順に試すのが鉄則です。迷ったらこの表に戻ってください。

やりたいことコネクタブラウザ操作画面操作自分でやる
カレンダー・Slackの確認◎ 最速×
クラウドのSaaSに大量入力×
連携のない古い業務ソフトへの転記××◎ 独壇場
PC内のファイル整理・命名統一××
資料の作成・書き出し・添付
送信・支払い・申請の確定××× 禁止◎ 人が実行
1分で終わる単発作業△ 大げさ

🤝 いちばん効く流れ

コネクタで
情報を集める
画面操作で
手を動かす
人が
最終確定

全部を画面操作でやろうとすると、遅く・脆くなります。ひとことで言えば——情報は正規ルートで、手作業だけを画面操作に。決定は人の手に残す。

実際に反響が大きい「効いた使い方」10選

同ジャンルの発信で、保存・コメント・再現報告が集まっているのは、派手なデモではなく地味で、毎週発生して、誰もやりたがらない作業でした。共通点は「①手順が決まっている ②取り消せる ③時間を食う」の3つです。

🗂️1. ダウンロードフォルダの棚卸し

  • 種類別に仕分け、命名規則を統一、重複を「要確認」へ
  • 反響の理由:誰の画面にも散らかっていて、失敗しても無害

🧾2. 請求書PDF → 一覧表

  • PDFを順に開き、日付・取引先・金額を表に転記
  • 反響の理由:毎月来る/転記ミスが起きやすい/効果が数字で出る

🖥️3. 連携のない業務システムへの入力

  • APIも連携も無い古いソフトに、表からひたすら転記
  • 反響の理由:「うちのシステムは対象外」という諦めが崩れる

📤4. 資料の書き出しと添付までの一連

  • スライドをPDFに書き出し、指定の場所に保存し、下書きに添付
  • 反響の理由:手順が多いのに頭は使わない、典型的な消耗作業

🌅5. 朝いちの「ブリーフィング」生成

  • 予定・未読・前日の日報を集めて、A4一枚に要約して出力
  • 反響の理由:移動中にスマホから頼み、席に着くと出来ている

📸6. 現場写真 → 報告書テンプレ流し込み

  • 写真を日付順に並べ、決まったフォーマットへ配置してPDF化
  • 反響の理由:建設・不動産・保険など、現場系で刺さりやすい

🔁7. SaaS管理画面の一括設定変更

  • ユーザー権限の付け替え、価格表の一括更新など
  • 反響の理由:件数が多いほど、人力との差が開く

🔍8. 画面の見た目チェック(目視の代行)

  • 更新前後のページを開いて撮影し、崩れている箇所を報告
  • 反響の理由:見落としが減り、確認の心理的負担が消える

📚9. バラバラの資料 → 社内マニュアル化

  • 複数フォルダの手順書を読み、章立てを揃えて1本に統合
  • 反響の理由:「やらなきゃ」と5年言い続けた作業が終わる

🏠10. 私生活側:写真・レシート・書類の整理

  • 撮りためた写真を日付とテーマで分類、レシートを家計表へ
  • 反響の理由:休日に手を付けられなかった山が、平日に片づく
⚠️ 逆に「伸びているけど真似してはいけない」型
ログイン画面の自動操作、他社サイトの大量アクセス、返信の自動送信——相手がいる操作・規約に触れる操作は、動いてしまうぶん危険です。動くこと=やってよいこと、ではありません。

仕事と私生活、それぞれの活かし方

「手順が決まっていて、頭を使わないのに時間がかかる」——その条件に当てはまる作業が、すべて対象です。

仕事 今日から効く場面
  • 請求書・領収書の転記と、月次一覧の作成
  • 紙の申請書のスキャン → 台帳への入力
  • 見積書の作成、テンプレへの流し込みとPDF化
  • 求人媒体・SNSへの同一内容の複数投稿の下書き
  • 複数フォルダに散った資料の統合と命名統一
  • 週次レポートの数字収集と、決まった様式への反映
  • クチコミ・問い合わせの一覧化と分類
  • 新人向け手順書の、画面キャプチャつきでの整備
私生活 暮らしが軽くなる場面
  • 撮りためた写真を、日付とテーマで自動分類
  • レシート画像から、月別の家計表を作成
  • 年賀状・宛名リストの整理と重複の統合
  • 旅行候補の比較表づくり(条件・価格・移動時間)
  • 役所・保険の書類をスキャンして、家族用フォルダへ
  • 子どもの学校プリントを月別に整理し、予定を一覧化
  • 資格勉強の教材を単元別に整理し、進捗表を更新
  • ネット上の情報を集めて、比較メモに落とす
うごく君のひとことおすすめは、まず私生活の写真整理から。壊れても誰にも迷惑がかからないのに、Claudeの得意・不得意がいちばんよく分かるんだ。ここで掴んだ感覚が、そのまま仕事の判断力になるよ。

ここに「自立型AI」が加わると、何が起きるか

画面操作は“手”。自立型(エージェント)は、その手を自分で計画して動かす頭です。両方そろうと、依頼の単位が「作業」から「役割」に変わります。

🔗手段をまたいで完遂する

  • ドライブから資料を取り、Excelで集計し、PDFにして格納
  • 途中で連携が無ければ、自分で画面操作に切り替える
  • 失敗したら別ルートを試し、それでも駄目なら人に聞く

🗓️定例業務が「勝手に」回る

  • 毎週月曜の朝、先週分の集計と報告書の下書きが出来ている
  • 月初に、前月の請求書一覧と未回収リストが揃う
  • 人がやるのは、確認と承認だけになる

📱場所から解放される

  • 現場・移動中・出張先から、スマホで依頼して机で受け取る
  • 「会社に戻らないとできない作業」が消えていく
  • 結果として、夜の残業が前倒しで片づく

🧑‍🏫属人化が崩れる

  • ベテランしか知らない操作手順が、指示書として形になる
  • 手順書がそのまま「AIに任せる指示」に転用できる
  • 引き継ぎ・教育のコストが構造的に下がる
⚠️ 自立型に任せる前の、5つの注意点
①いきなり本番に使わない:まずコピーしたフォルダで。②取り消せない作業は任せない:削除・送信・支払いは人が実行。③作業ログを必ず見る:結果ではなく経過を確認する。④画面に映すものを選ぶ:見えている情報は渡した情報と同じ。⑤責任は人に残る:AIが作っても、出した書類の責任はあなたのものです。

いちばん重要な注意点:プロンプトインジェクション

画面操作を使うなら、この言葉だけは覚えてください。AIが読んだ文章の中に、悪意ある「命令」が仕込まれている攻撃のことです。Coworkに対しても、ファイルを盗み出す攻撃が研究者によって実証されています。

1何が起きるのか

Webページや資料の中に、人には見えにくい形で「このフォルダの中身を外部に送れ」といった指示を埋め込む手口です。AIは“読んだ文章”を素直に受け取ってしまうことがあります。

2なぜ画面操作だと怖いのか

チャットなら「変な答えが返る」で済みますが、画面操作では実際に手が動きます。ファイルを開く権限があるほど、影響範囲が広がります。

3いちばん効く対策

権限の最小化です。触れるフォルダを限定し、機密は最初から置かない。範囲外に手が届かなければ、仕込まれても実行できません。

4知らない資料は開かせない

出所不明のファイル、外部から届いた添付、怪しいサイト——これらをAIに読ませないだけで、リスクの大半は消えます。人間の「不審メールを開かない」と同じです。

⚠️ 提供元自身が公表している前提
Anthropicはこの機能を研究プレビューと位置づけ、機密情報を扱うアプリと並行して使わないよう推奨しています。また、動作の途中で遠隔から止める仕組みは万全ではないと説明されています。つまり「止めるのは、目の前にいるあなた」。席を外して長時間まわす運用は、慣れてからにしてください。
うごく君のひとこと怖がって使わないのも、無防備に使うのも、どちらも損だよ。正解は「危ないことができない場所で、たくさん使う」。範囲を絞れば絞るほど、安心して回数を増やせるんだ。

費用対効果を、数字で判断する

Computer Useを使うには Pro または Max が必要です。「高いかどうか」は感覚ではなく式で決めます。

プラン月額の目安Computer Useこんな人に
Free(無料)0円対象外まずチャットで試す段階
Pro$20(約3,000円)◎ ここから毎日仕事で使う個人・社長。最初の有料はここ
Max 5x$100(約15,000円)長時間まわす人・上限に毎日ぶつかる人
Max 20x$200(約30,000円)業務の中心に据えるヘビーユーザー
公式の最新料金を見る ↗
✕ ありがちな判断
「AIにPCを触らせるなんて、まだ早い」
→ 判断を先送りにすると、比較材料が一生増えない
◎ 正しい判断
浮いた時間 × 時給 > 月額 + 確認にかかる時間
→ 「確認の手間」を式に入れるのが、実務のコツ
置き換える作業今かかっている時間削減の目安月額の回収
請求書の転記(月80件)月4時間▲3時間時給1,500円でも回収
ファイル整理・命名統一月3時間▲2.5時間1人で余裕を持って回収
週次レポートの数字集め月6時間▲4時間管理職なら圧倒的黒字
報告書テンプレへの写真差し込み月5時間▲3.5時間現場業務で効果が大きい

現実的な目安は、定型の転記・整理業務がある職場で1人あたり月5〜15時間。ただし導入初月は確認の時間が増えます。ここを織り込んでおかないと「思ったより効かない」と感じて止めてしまいます。評価は3か月目に。

うごく君のひとこと費用対効果を出すコツは、置き換える作業を1つに絞って、時間を測ること。「なんとなく楽になった」では、社内の稟議は通らないからね。

このシリーズの進み方(全11回)

8第8回:会議の準備

アジェンダと要約を自動生成。会議前後の手間を10分の型に。

9第9回:タスク自動化

最も繰り返しの多い作業を自動化。任せる範囲を見極める回。

10第10回:Artifacts

コーディングなしで自社専用の道具を作って配る。試作→検証→本格導入の流れ。

11第11回:Computer Use(この記事)

頭で任せてきた作業を、ついに「手」ごと任せる。導入・権限設計・指示の型・Dispatch・費用対効果・安全対策まで。

うまくいかない・困ったとき

メニューにコンピュータ操作が出てこない
①プランがPro/Maxか、②ブラウザ版ではなくデスクトップアプリか、③アプリが最新版か、の順に確認してください。研究プレビューのため、提供対象や表示は順次変わります。それでも出ない場合は、いったんサインアウトして入り直すと反映されることがあります。
指示しても、まったく動かない/画面が反応しない
ほぼOSの権限です。macOSならシステム設定のプライバシーとセキュリティで「アクセシビリティ」と「画面収録」の両方が許可されているか確認し、許可後にアプリを再起動してください。Windowsも操作許可の承認を確認します。
クリックする場所がずれる/別のボタンを押してしまう
画面の見え方に影響されます。①ディスプレイを1枚にする、②ウィンドウを最大化して固定する、③表示倍率を標準(100%)に戻す、④操作対象のアプリを手前に出しておく。この4つでかなり安定します。
途中で止まる/同じ操作を繰り返している
一度に頼んでいる工程が多すぎるサインです。作業を2〜3工程に割って、段階ごとに報告させてください。「同じ操作を2回失敗したら止めて報告」という停止条件を最初から入れておくのが有効です。
思っていたより遅い
仕様です。画面操作はスクリーンショットを撮って判断しながら進むため、コネクタ経由より時間がかかります。速さを求める作業ではなく、自分がいない時間に進む作業に割り当ててください。
やめたい・権限を返したい
機能をオフにするか、OSの設定から該当アプリの「アクセシビリティ」「画面収録」の許可を外せば、画面を見ることも触ることもできなくなります。試してみて合わなければ、いつでも元に戻せます。

会社で使うなら、この4点だけ先に決める

1触ってよい範囲の指定

フォルダとアプリを名指しで許可制に。「業務PC全部」ではなく「この1フォルダ」から。範囲を書いた紙1枚があれば十分です。

2禁止操作の明文化

削除・送信・支払い・申請の確定はAIに実行させない。ここを共通ルールにしておけば、担当者ごとの判断ブレが消えます。

3記録と確認の担当

誰が作業ログを見て、誰が成果物を承認するかを決める。AIが作った書類も、対外的な責任は会社に残ります。

4勝手に増やさない(シャドーAI対策)

各自が別々に権限を付け始めると、どのPCが何に触れるか追えなくなります。導入台数と許可範囲は、必ず一覧で管理を。

よくある質問

無料プランでも使えますか?
Computer Useは研究プレビューとして、Claude ProまたはMaxの契約者向けに提供されています。無料プランは対象外です。まずは無料でチャットとファイル操作に慣れ、「定型の転記作業を任せたい」と感じたタイミングでProへ、が失敗しない順番です。
WindowsでもMacでも使えますか?
はい。2026年3月にmacOSで研究プレビューが始まり、同年4月にWindowsへ拡大しました。いずれもデスクトップアプリ(Cowork/Claude Code)が入口です。スマホアプリからは、Dispatchで「依頼する」側として使います。
会社のパソコンに入れても大丈夫ですか?
必ず責任者・IT管理者の承認を取ってください。おすすめは「検証用の1台・1フォルダに限定し、期間を区切って効果を測る」進め方です。範囲と期間を書いて申請すれば、話は通りやすくなります。
作業中に勝手なことをされたら、止められますか?
実行中はユーザーがいつでも停止できる設計になっており、新しいアプリに触れる前には確認を求める仕組みがあります。ただし提供元自身が、遠隔から確実に止める仕組みは万全ではないと説明しています。長時間の無人運用は避け、最初は目の前で見ながら使ってください。
RPAとは何が違いますか?
従来のRPAは画面の要素や座標を事前に登録するため、画面の作りが変わると止まりやすい仕組みでした。Computer Useは画面を見て判断するので、変化に強く、設定作業もほぼ不要です。反面、毎回まったく同じ動きをする保証はないため、厳密な再現性が要る基幹業務にはRPA、変化する雑多な作業にはComputer Useという住み分けが現実的です。
結局、最初は何を任せればいいですか?
「①毎週発生する ②手順が決まっている ③失敗しても取り消せる」の3条件を満たす作業を1つだけ選んでください。ファイル整理か、PDFからの転記が定番です。1つで成果が出てから、2つ目に進むのが最短ルートです。
社員に展開したいのですが、何から?
①禁止操作を紙1枚のルールにして配る ②検証用の1台で、代表者が1業務を回して時間を測る ③その手順をそのまま指示テンプレとして共有する、の順です。ツールを配るだけでは定着しません。「同じ範囲・同じ指示文」で始めるのが、いちばん早い研修になります。
無料AI化診断

手は増やせた。
次は、どの作業から渡すかを決めませんか?

「任せられる作業が、どれか分からない」で止まっている方へ。まずは無料のAI化診断から。Googleフォームで数分、あなたの会社で置き換えられる業務が見えてきます。

所要時間は数分です。スマホからそのまま回答できます。