残り 15
Gemini実践シリーズ 第9回 | 所要15分

毎週やっているあの作業、
消せます。

自動化と聞くと、専門の会社に何百万も払う話に聞こえます。でも、Googleの中で完結する作業ならコードを1行も書かずに仕組みを作れます。今日は、その1本目を作ります。

案内役はこの子、うごく君。つまずきやすいポイントを、先回りして教えます。
🏁 結論から言います

この15分を終えると、あなたの仕事から
「毎回やっている作業」が1つ消えます

読むだけでは変わりません。でも、この記事の手順を1回なぞるだけで、次のような差が出ます。

BEFORE / 今のあなた
  • 毎週金曜、同じ集計作業に1時間かけている
  • 自動化=システム開発だと思っている
  • 「うちの規模じゃ無理」と諦めている
  • 担当者が休むと、その作業が止まる
  • 忘れると、あとで大きな手戻りになる
AFTER / 15分後のあなた
  • 金曜の朝、結果ができあがっている
  • 自動化するものと、しないものを判断できる
  • コードを書かずに、自分で仕組みを作れる
  • 誰が休んでも、同じ結果が出る
  • 止め方と直し方まで分かっている
📌 Geminiならではの部分:GoogleにはApps Scriptという、Gmail・ドライブ・スプレッドシート・カレンダーを動かせる仕組みが標準で用意されています。追加費用はかかりません。そしてそのコードを、Geminiに書かせられますSTEP3で扱います。
うごく君より

おかえりなさい、うごく君です。第8回まででGeminiに「頼む」ことは覚えましたね。今回からは頼まなくても動く段階です。ここが後半の入口。ただし全部を自動化しようとすると必ず失敗します。この記事を上から15分やり切ると、次の状態になります。

  • 自動化に向く業務・向かない業務を判断できる
  • どんな作業も4つの部品に分解できる
  • コードを書かずにApps Scriptを作れる
  • 作った仕組みを定期実行にできる
  • 止め方と、失敗したときの備えが分かる
  • 手順書にして、人に渡せる状態にできる
30秒でわかる

自動化には、
3つの段階がある。

いきなり3段目を目指すと失敗します。1段目から順に上がってください。

🙋

1. 頼めば、やってくれる
= 第1〜8回

人がきっかけを作る段階。回数が多い作業でも、結局「毎回頼む」手間は残ります。

2. 決まった時に、勝手に動く
= 今回のゴール

時間やきっかけを決めておけば、頼まなくても動く。中小企業にはここで十分です。

🤖

3. 自分で考えて、進める
= 自立型AI

手順まで自分で決める段階。使いどころを絞れば強力ですが、統制が要ります。

GEMINI MASTER | LESSON 09

第9回:タスク自動化
― 定型処理を、書かせて消す ―

パソコンが得意でない方でも、上から順に進めるだけで終わるように作りました。所要時間の目安は合計15分です。

💡 最初にこれだけ

自動化で失敗する会社は、決まって「まず全体を見直そう」から始めます。うまくいく会社は「毎週やってる、いちばん面倒な1つ」から始めます。範囲を広げるほど、設計に時間がかかり、動き出す前に力尽きる。小さく作って、動かして、そこから広げてください。

なぜ「自動化は無理」だと思われてきたのか

前提が、この2年で完全に変わりました。

POINT 01

これまでは、書ける人がいなければ始まらなかった

自動化には、プログラムを書ける人が必要でした。外注すれば数十万〜数百万。だから中小企業は「うちの規模では無理」が正解だったのです。いまは、やりたいことを日本語で説明すれば、動くコードが出てきます。前提が変わったので、判断も変えてよい局面です。

POINT 02

Googleを使っているなら、土台はもう手元にある

Apps Scriptは、Googleアカウントがあれば追加費用なしで使えます。新しいシステムを買う必要も、サーバーを借りる必要もありません。Gmail、ドライブ、スプレッドシート、カレンダー——すでに使っているものを、つなぐだけ。ここがGeminiで自動化する最大の利点です。

失敗しないための、たった2つのルール

RULE 01

必ず、コピーで試す

本番のスプレッドシートやメールで、いきなり動かさないでください。コピーを作り、テスト用のデータで動かす。自動化は、間違いも自動で繰り返します。手作業なら1回のミスが、自動化では100回になります。

RULE 02

送信・削除は、最後まで自動にしない

集計・整理・下書きの作成までは自動でよい。しかし社外への送信、ファイルの削除、支払いに関わる操作は、人が実行する形に留めてください。取り消せないことを自動化すると、事故が起きたときに戻せません。

この記事のゴール:自動化にも「3段階」がある

全部を今日やる必要はありません。まずレベル1、慣れたらレベル2。レベル3は組織で使う段階です。

LEVEL 1 / 今日から

1本、作って動かす

毎週やっている作業を1つ選び、手で実行するところまで。今日のゴールです。

STEP 1〜3 で解説
LEVEL 2 / Geminiの本命

放っておいても動く

時間やきっかけを決めて、定期実行に。ここで本当に時間が空きます。

STEP 4・5 で解説
LEVEL 3 / 組織で使う

人に渡せる状態にする

作った人しか分からない仕組みは、資産ではなく負債です。

STEP 6 で解説
STEP1
FIND / 所要3分
自動化する業務を、1つだけ選ぶ

ここで選び方を間違えると、あとの12分が無駄になります。判断基準は3つ。この3つが全部そろっているものだけを選んでください。

自動化に向く業務の3条件
1
頻度が高い週1回以上。月1回だと効果が薄い
2
手順が決まっている毎回同じ。判断が入らない
3
入口と出口が同じ形データの形も、出す先も毎回同じ
手順が決まっている → 頻度が高い → よく起きるが、毎回違う → 第1〜8回のやり方で都度頼む クレーム対応・個別の提案書 ◎ ここから始める 毎週の集計・定型の通知 ファイルの整理・リマインド 今日つくるのは、この箱の1つ たまにしか起きず、毎回違う → 自動化しない。人がやる 経営判断・採用面接 手順は決まっているが、年数回 → 手順書だけ作れば十分 年末調整・決算の準備
右上の箱だけを狙ってください。ほかの3つに手を出すと、必ず途中で止まります
📋 業務の棚卸しと点数化テンプレ
私の仕事のうち、自動化に向くものを一緒に探してください。
【私がやっている繰り返し作業】
・〔毎週金曜に、各店舗の売上をスプレッドシートに集計している〕〔毎月1日に、前月の日報フォルダから月次報告を作っている〕〔請求書メールが来たら、ドライブの月別フォルダに保存している〕
それぞれについて、次の観点で10点満点で採点し、表にしてください。
1. 頻度(週1回以上なら高得点)
2. 手順の決まりやすさ(判断が入らないほど高得点)
3. 入口と出口の形の安定度
4. ミスが起きたときの影響の大きさ(大きいほど低得点)
そのうえで、最初に自動化すべき1つを、理由つきで挙げてください。
⚠️ 「いちばん面倒なもの」を選ばないでください
面倒に感じる作業は、たいてい判断が入るから面倒なのです。それは自動化に向きません。選ぶべきは「面倒ではないが、回数が多くて時間を食っているもの」。地味な作業ほど、自動化の効果が出ます。
うごく君のひとこと4番の「ミスの影響が大きいほど低得点」を入れてるのがポイント。請求や支払いに関わる作業は、点数が高くても最初の1本には選ばないでね。まずは間違えても取り返せるものから。
STEP2
DECOMPOSE / 所要2分
4つの部品に、分解する

どんな作業も、この4つに分解できます。ここを言葉にできれば、あとはGeminiが作ってくれます。逆に、ここが曖昧なままだと、何度作り直してもうまくいきません。

自動化の4部品
1
きっかけ(いつ動くか)毎週金曜9時/メールが届いたら/シートに行が増えたら/フォームが送信されたら。時間で決めるのがいちばん安全です。
2
材料(何を見るか)どのスプレッドシートの、どのシートの、どの範囲か。どのフォルダの、どんな名前のファイルか。ここは具体的に。
3
処理(何をするか)集計する/並べ替える/転記する/文章にする。1つの仕組みで1つの処理にすると、壊れにくくなります。
4
出し先(どこに出すか)別のシートに書く/ドキュメントを作る/自分にメールする/チャットに通知する。まずは自分宛てから始めます。
📋 4部品の書き出しテンプレ
次の作業を自動化したいです。4つの部品に整理してください。
【いまやっていること】
〔毎週金曜の夕方に、各店舗が入力した売上シートを見て、
 店舗別の週合計を出し、社内チャットに報告している〕

整理してほしい形:
1. きっかけ(いつ動かすべきか。候補が複数あれば、安全な順に)
2. 材料(どのファイルの、どの範囲を見るか)
3. 処理(具体的に何をするか。手順を分けて書く)
4. 出し先(どこに、どんな形で出すか)
※曖昧な部分があれば、決める前に質問してください。
※この作業が自動化に向かない場合は、その理由を正直に教えてください。
うごく君のひとこと最後の「向かない場合は正直に」の一行、必ず入れてね。無理な自動化に何時間もかけるより、「これは人がやったほうが早い」と早めに分かるほうが、ずっと得だから。
STEP3
SCRIPT / 所要3分 ★Gemini の本命
コードを書かずに、仕組みを作る

ここがこの記事の山場です。Googleには Apps Script という、Gmail・ドライブ・スプレッドシート・カレンダーを動かせる仕組みが標準で用意されています。追加費用はかかりません。そのコードを、Geminiに書かせます。

手順(スプレッドシートの場合)
  1. 必ずコピーを作る:ファイル → コピーを作成。本番では試さない
  2. コピーしたシートで、拡張機能 → Apps Script を開く
  3. 下のテンプレでGeminiにコードを作らせ、貼り付ける
  4. 手で実行して、動きを確認する(この時点では自動ではありません)
  5. 権限の承認を求められたら、内容を読んでから許可する
📋 Apps Scriptを書かせるテンプレ
Google Apps Scriptのコードを書いてください。私はプログラミングの知識がありません。
【やりたいこと】
・きっかけ:〔手動で実行(あとで毎週金曜17時に変更予定)〕
・材料:〔このスプレッドシートの「売上入力」シート、A〜E列〕
・処理:〔店舗ごとに今週分の金額を合計する〕
・出し先:〔「週次集計」シートに、日付つきで1行追加する〕

【必ず守ってほしいこと】
・データを削除・上書きする処理は入れないでください(追加だけ)
・メールの送信や、社外への通知は入れないでください
・エラーが起きたら、処理を止めて内容を記録するようにしてください
・コードの各部分が何をしているか、日本語のコメントを入れてください

【あわせて教えてください】
1. 貼り付ける場所と、実行のしかた(画面の操作を順番に)
2. 求められる権限の内容と、なぜ必要か
3. うまく動かないときに、最初に確認すべき3点
⚠️ 権限の承認画面は、必ず読んでください
Apps Scriptを初めて実行すると、「このスクリプトにアクセスを許可しますか」という画面が出ます。ここで何に対する権限かを必ず確認してください。スプレッドシートの集計なのに「メールの送信」「ファイルの削除」の権限を求められたら、コードに余計な処理が入っています。そのときは許可せず、Geminiに指摘してください。
動かないときは、エラーごと渡す
📋 エラーの直し方
このコードを実行したら、次のエラーが出ました。
【エラーの内容】
〔画面に表示されたメッセージをそのまま貼り付け〕
【私がやった操作】
〔実行ボタンを押した/権限を許可した〕
原因と、直したコードを教えてください。
プログラミングの知識がないので、直す手順も具体的にお願いします。
うごく君のひとことエラーが出ても大丈夫。エラーメッセージをそのままコピーして貼るだけで、たいてい直せるよ。むしろ1回目で完璧に動くほうが珍しいくらい。2〜3往復が普通だと思っておいてね。
STEP4
SCHEDULE / 所要3分
定期実行に、切り替える

手動で動くことを確認できたら、いよいよ自動にします。ここで初めて「時間が空く」——それまでは、ただの便利な道具です。

きっかけの決め方
きっかけ安全度向いている業務注意点
時間(毎日・毎週・毎月)◎ 高い集計・レポート・リマインドまずはこれから
シートが編集されたとき入力チェック・転記回数が増えやすい
フォームが送信されたとき◎ 高い申込・問合せの振り分け件数の上限に注意
メールが届いたとき添付ファイルの保存条件を絞らないと暴走
📋 定期実行にするテンプレ
いま動いたスクリプトを、〔毎週金曜の17時〕に自動実行したいです。
1. トリガーの設定手順を、画面の操作の順番で教えてください
2. 実行に失敗したときに、私にメールで知らせる設定も入れてください
3. 実行時間や回数の制限で気をつけるべき点を教えてください
4. 設定したあと、正しく動いているかを確認する方法も教えてください
※最初の2週間は、結果を私が毎回確認する前提で設計してください。
Gemini側のスケジュール機能も使えます

コードを書かなくても、Geminiに「毎週月曜の朝に、この内容を実行して」と予約できる機能が用意されています(プランや提供地域によって使える範囲が異なります)。定型の調査や要約なら、こちらのほうが手軽です。Apps Scriptは「データを動かす」、Geminiの予約実行は「考えさせる」——この使い分けが分かりやすいでしょう。

うごく君のひとこと最初の2週間は毎回確認する」を必ず設計に入れてね。自動化の事故って、動き始めてすぐじゃなく、誰も見なくなった3か月後に気づかれるんだ。
STEP5
GUARD / 所要2分 ★必読
止め方と、失敗したときの備え

自動化で大事なのは、作ることより止められることです。走り出したものを止められない状態が、いちばん危ない。この2分で、そこを押さえます。

最初に決めておく5つ
1止め方を、先に確認する

トリガーの一覧画面から削除すれば止まります。止め方を知らないまま動かさないこと。手順書の1行目に書いてください。

2失敗を知らせる仕組み

エラーが起きたら、自分にメールが届くように。静かに止まっている状態がいちばん危険です。

3元に戻せるようにする

上書きではなく追記に。スプレッドシートの変更履歴も確認しておく。削除する処理は最後まで入れないのが安全です。

4誰の権限で動くかを理解する

スクリプトは作った人の権限で動きます。その人が退職・異動したら止まる可能性があります。会社の共有アカウントで作る運用も検討してください。

5月1回、動いているか見る

「動いているはず」がいちばん怖い。月次の点検日を決めて、結果が出ているかだけ確認してください。1分で済みます。

6社外に出るものは、人を通す

メール送信、顧客への通知、公開ページの更新。取り消せない出口の手前には、必ず人を立たせる。第4回・第7回・第8回と同じ鉄則です。

⚠️ 自動化は、間違いも自動で繰り返します
手作業なら「あ、間違えた」で済むものが、自動化では気づくまで毎回繰り返されます。だから最初の2週間は必ず人が結果を見る。そして間違えても取り返せる業務から始める。この2つだけは、例外を作らないでください。
うごく君のひとこと4番の「誰の権限で動くか」は見落とされがち。担当者が辞めた瞬間に、社内の自動化が全部止まった——実際にある話なんだ。作るときから、引き継ぎを考えておこう。
STEP6
HANDOVER / 所要2分
手順書にして、人に渡す

最後の2分です。作った人しか分からない仕組みは、資産ではなく負債になります。ここまでやって、はじめて会社のものになります。

📋 引き継げる手順書を作らせる
いま作った自動化について、引き継ぎ用の手順書を作ってください。
読む人はプログラミングの知識がない前提です。次の項目で、A4一枚に。
1. 何を自動化しているか(1行で)
2. いつ動くか
3. 結果はどこに出るか
4. 止め方(画面の操作を順番に)
5. 動いていないときの確認手順(3つまで)
6. この仕組みを作った人・管理する人
7. 変更したいときに、誰に相談すればよいか
※専門用語には、かならず括弧書きで説明を付けてください。
最後に、Googleドキュメントに書き出してください。
あわせて残しておくもの
  • 作らせたときの指示文:あとで作り直すときに、ゼロから説明せずに済みます
  • スクリプトのコピー:ドキュメントに貼っておくと、消えても復元できます
  • 自動化の一覧表:社内にいくつあるか分からない状態を避ける。スプレッドシート1枚で十分です
うごく君のひとこと社内の自動化一覧表」、ぜひ作ってほしいな。3本を超えたあたりから、誰が何を作ったか分からなくなる。1枚あるだけで、あとの管理がまるで違うよ。

費用対効果を「時間」で見える化する

自動化の効果はずっと続くのが特徴です。1回作れば、翌月も翌年も効きます。中小企業の現場でよく見る目安です(業務内容により変動します)。

よくある業務これまで自動化後月あたり
週次の売上集計(週1回)60分5分(確認のみ)▲3.7時間
請求書メールのファイル整理(月40件)3分0分▲2.0時間
月次報告書の作成(月1回)120分20分▲1.7時間
期限前のリマインド送信(週3件)10分0分▲2.0時間
フォーム回答の振り分け(月30件)4分0分▲2.0時間

📐 かんたんな損益分岐の出し方

作る手間
1本あたり約1時間
÷ 月の削減時間
(例 3.7時間)
初月で回収
翌月からは純利益

自動化が他の回と決定的に違うのは、効果が積み上がることです。1本目が3.7時間、2本目が2時間、3本目が2時間——半年で月10時間を超えます。しかも追加費用はゼロ(Apps Scriptは無料で使えます)。

⚠️ 数字を出すときの注意
上の「自動化後」には、結果を確認する時間と、月1回の点検を含めています。誰も見ていない自動化は、いつか静かに壊れます。点検の時間を入れない試算は、社内で必ず崩れます。

プロが見ている、初心者がやりがちな8つの落とし穴

研修の現場で、実際によく見る順に並べました。心当たりがあるものから直してください。

1️⃣全体を見直そうとする

  • 設計だけで力尽きて、1本も動かない
  • 直し方:毎週やっている1つから

2️⃣本番データで試す

  • 戻せなくなる事故の大半がこれ
  • 直し方:必ずコピーで試す

3️⃣いちばん面倒な作業を選ぶ

  • 面倒=判断が入る=自動化に向かない
  • 直し方:地味で回数が多いものを選ぶ

4️⃣権限の承認画面を読まない

  • 集計なのに削除権限、が通ってしまう
  • 直し方:内容を読み、不審なら許可しない

5️⃣止め方を知らないまま動かす

  • 暴走したときに、何もできない
  • 直し方:止め方を先に確認・記録する

6️⃣失敗の通知を設定しない

  • 静かに止まり、3か月後に発覚する
  • 直し方:エラー時にメールが来る設定を

7️⃣最初から送信まで自動にする

  • 誤送信は取り消せない
  • 直し方:下書きまで。送信は人が

8️⃣手順書を作らない

  • 作った人が辞めたら、誰も触れなくなる
  • 直し方:STEP6。A4一枚でいい

自動化が効く、局面別の使いどころ

まずこの中から、毎週やっているものを1つ選んで作ってみてください。

🏗️建設・現場で

  • 日報フォームの回答を、現場別シートに自動振り分け
  • 週次の稼働・原価集計を、金曜夕方に自動作成
  • 資格・免許の更新期限を、1か月前に自動通知
  • 請求書メールの添付を、月別フォルダへ自動保存

🏪店舗・サービス業で

  • 各店舗の売上入力を、本部シートに自動集約
  • シフト希望フォームを、店舗別に自動整理
  • 棚卸しの入力漏れを、締切前に自動リマインド
  • クチコミの新着を、担当者に自動通知

🧑‍💼事務・経営で

  • 月初に、前月データから月次レポートを自動生成
  • 問い合わせフォームを、内容別に自動仕分け
  • 契約更新日の30日前に、自分宛てに自動通知
  • 経費申請シートの記入漏れを、自動チェック

ここに「自立型AI」が加わると、何が変わるか

今回作ったのは「決めた通りに動く」自動化です。Gemini Spark のような自律型エージェントは、その先の「手順まで自分で考えて進める」段階にあたります。強力ですが、今回のレベル2を飛ばしていきなり3段目に行くと、まず失敗します

🔭 いちばん大事な前提

自立型AIに任せられるのは、合格条件を言葉にできる仕事だけです。今回のSTEP2で覚えた「きっかけ・材料・処理・出し先」を書き出せない業務は、エージェントに渡しても同じように失敗します。順番を飛ばさないこと——4部品に分解できる業務が社内に何本あるか、それがそのまま自動化できる上限です。

✅ 任せてよい範囲 向いている
  • 決まった時間に、決まった集計を出す
  • ファイルの整理・振り分け・命名の統一
  • 期限前のリマインド(自分・社内宛て)
  • 入力漏れ・異常値のチェックと通知
  • レポートの下書き作成(配布は人が)
⛔ 任せてはいけない範囲 要注意
  • 社外への自動送信・自動通知
  • ファイルやデータの削除
  • 請求・支払い・発注に関わる処理
  • 個人情報を含むデータの一括処理
  • 人が確認しないまま確定する数値
うごく君のひとことここまで来ると、もう気づいてると思うけど——「取り消せないことの手前に、人が立つ」。第4回のメール、第7回の画像、第8回の議事録、そして今回。全部同じ原則だよ。

つまずいたときのチェックリスト

コードを貼り付けたが、エラーが出て動かない
1回目で動くほうが珍しいので、落ち込まないでください。エラーメッセージをそのままコピーして、Geminiに貼るのが最短です。あわせて「自分が何をしたか」も伝えてください。よくある原因は、①シート名が実際と違う ②範囲の指定がずれている ③権限を許可していない、の3つです。
権限の承認画面で、警告が出て進めない
自分で作ったスクリプトの場合、「確認されていないアプリ」といった警告が出ることがあります。これは自作スクリプトでは通常の挙動です。ただし求められている権限の内容は必ず読んでください。集計だけのはずなのにメール送信やファイル削除の権限を求めていたら、コードに余計な処理が入っています。その場合は許可せず、Geminiに「この権限は不要なので、使わない形に書き直して」と伝えてください。
定期実行にしたのに、動いていない
確認する順番は、①トリガーが実際に設定されているか(一覧画面で確認)②実行履歴にエラーが記録されていないか ③実行時間や回数の制限に当たっていないか。とくに③は、頻度を高くしすぎたときに起きます。また、スクリプトを作った人のアカウントが無効になると止まります。担当者の異動・退職時は要注意です。
作ったが、結果が微妙に違う
多くの場合、材料の指定が実際とずれています。データが増えて範囲を超えた、列が追加された、シート名が変わった——このあたりが典型です。第6回で覚えた「表の形を固定する」が効いてきます。逆に言えば、表の形がころころ変わる業務は、自動化には向きません。
Apps Scriptって、無料で使えるんですか?
Googleアカウントがあれば、追加費用なしで利用できます(実行時間や回数などの利用上限はあります)。新しいシステムの購入も、サーバーの契約も不要です。ここが、中小企業にとってGeminiで自動化する最大の利点です。ただし上限は変更されることがあるため、最新の公式情報をご確認ください。

安全に、かしこく使うために

1必ずコピーで試す

本番のシート・メールでいきなり動かさない。自動化は、間違いも自動で繰り返します。

2削除・送信は入れない

最初の1本には、取り消せない処理を入れないでください。追記だけの設計から始めます。

3権限の内容を読む

やろうとしていることと、求められる権限が合っているか。合っていなければ許可しない。

4止め方と一覧を残す

止め方を知らないまま動かさない。社内にいくつ動いているかを、1枚の表で把握してください。

よくある質問

プログラミングの知識がまったくないのですが、大丈夫ですか?
大丈夫です。ただし「何をしたいか」を言葉にする力は必要になります。それがSTEP2の4部品です。コードは読めなくても構いませんが、権限の内容だけは読んでください。ここだけは、知識ではなく確認の習慣の問題です。
専門の会社に頼むのと、どう使い分ければいいですか?
Googleの中で完結する作業(シート・メール・ドライブ・カレンダー・フォーム)は、自分で作れます。一方、基幹システムとの連携、会計・給与ソフトとの接続、大量データの処理は専門の会社の領域です。自分で1〜2本作ってから相談すると、要件がはっきりしているぶん、見積も打ち合わせも速くなります。
社員に作らせても大丈夫ですか?
推奨しますが、ルールを先に決めてください。①本番データでは試さない ②削除・送信は入れない ③作ったら必ず一覧表に登録する ④止め方を手順書に書く。この4つがあれば、現場の人が作るほうが実態に合った仕組みになります。作れる人が増えることが、いちばん大きな資産です。
担当者が辞めたら、どうなりますか?
スクリプトは作った人の権限で動くため、アカウントが無効になると止まることがあります。対策は、①手順書とコードをドキュメントに残す ②重要なものは会社の共有アカウントで作る ③自動化の一覧表を管理する。STEP6をやっておけば、引き継ぎは十分に可能です。
研修として社内に導入する場合、助成金は使えますか?
人材開発支援助成金など、要件を満たせば活用を検討できる制度があります。ただし対象コース・訓練時間・申請時期などの要件は毎年更新されるため、必ず最新の公募要領と、管轄の労働局へのご確認をお願いします。UGOKU AIでは、要件の整理からご相談いただけます。

理解度チェック(3問・1分)

読んだだけだと、たいてい3日で忘れます。3問だけ答えて、記憶に固定してから閉じてください。

🧠 3問クイズ

選ぶだけ。すぐに答えと解説が出ます。

1最初に自動化すべき業務は、どれ?
正解:地味で、頻度が高く、手順が決まっている作業。面倒に感じる作業は判断が入るから面倒なので、自動化に向きません。狙うのは「頻度が高い×手順が決まっている」の箱だけです。
2Apps Scriptを作るとき、必ずやるべきことは?
正解:コピーで試す。自動化は間違いも自動で繰り返します。手作業なら1回のミスが、自動化では気づくまで毎回起きます。コードを全部理解する必要はありませんが、権限の内容だけは読んでください
3自動化を作ったあと、いちばん忘れられがちで危険なのは?
正解:止め方と、失敗の通知。自動化の事故は動き始めた直後ではなく、誰も見なくなった3か月後に発覚します。静かに止まっている状態がいちばん危険。月1回、1分の点検日を決めてください。

このシリーズの進み方(全15回+番外編)

1回あたり10〜15分、上から順に積み上がる設計です。整える→頼む→読ませる→書かせる→調べる→作る→任せる→広げるの順で進みます。

テーマこの回で手に入るもの時間
第1回Geminiの基礎Googleとつながったワークスペース15分
第2回伝わる頼み方材料を名指しするプロンプトの型10分
第3回ドライブ横断の資料分析探さずに、まとめて要点化する15分
第4回Gmail連携のメール術受信トレイを離れずに返信を終える10分
第5回Deep Research出典つき調査レポートと、裏取りの手順15分
第6回スプレッドシート分析関数を書かずに集計・グラフ化10分
第7回画像・動画の制作POP・バナー・短尺動画の内製化15分
第8回会議の準備と議事録カレンダー連携と、録音→決定事項10分
第9回タスク自動化(この記事)定型処理を書かせて消す15分
第10回Canvas会話ではなく“編集画面”で仕上げる10分
第11回Gemini Notebook自社資料だけで答える社内辞書15分
第12回Gemの量産役割ごとのAI担当者を並べる10分
第13回Workspace展開チーム全員の標準にする設定と権限15分
第14回高度なプロンプト自分で考えさせる指示の組み立て10分
第15回フルワークフロー1〜14をつないだ完全AI自動化システム15分
番外編総括/セキュリティ情報漏洩・コンプライアンス・社内規程の型15分
COMPLETE

最後まで読んでくれて、ありがとう。

上のチェックを埋めていくと、進み具合がここに出ます。全部でなくて大丈夫。1つでも実際にやった人から、確実に変わっていきます。

0 / 6 ステップ完了
🎓 第9回の宿題

この記事を閉じる前に、毎週やっている作業を1つ選んで、4部品に分解してみてください。それだけで第9回は合格です。分解できたなら、その業務は自動化できます。分解できないなら、それは人がやるべき仕事です。次の第10回では、「会話ではなく、編集画面で仕上げる」 Canvasの使い方を扱います(所要10分)。

無料AI化診断

1本目が動いた。
次は、あなたの会社の定型業務を棚卸ししませんか?

「どの業務から自動化すればいいか分からない」で止まっている方へ。まずは無料のAI化診断から。Googleフォームで数分、あなたの会社に合うAIの使いどころが見えてきます。

所要時間は数分です。スマホからそのまま回答できます。