残り 15
Gemini実践シリーズ 第13回 | 所要15分

「一部の人だけ」で、
止まっていませんか。

AI活用が広がる会社と、3人で止まる会社。違いはやる気でも、規模でもありません安全な選択肢が、全員に配られているかどうかだけです。今回は、会社として使う段階の話をします。

案内役はこの子、うごく君。つまずきやすいポイントを、先回りして教えます。
🏁 結論から言います

この15分を終えると、AIは
「個人の道具」から「会社のインフラ」に変わります。

読むだけでは変わりません。でも、この記事の順番でやれば、次のような差が90日で出ます。

BEFORE / 今の会社
  • 誰が何にAIを使っているか、把握できていない
  • 社員が個人のアカウントで、勝手に使っている
  • 「情報漏洩が心配だから禁止」で止まっている
  • 詳しい人が辞めたら、全部が止まる
  • 導入したが、効果を数字で説明できない
AFTER / 90日後の会社
  • 誰がどう使っているか、把握できている
  • 会社のアカウントに統一され、データも守られる
  • ルール1枚があるので、現場が安心して使える
  • Gemもノートも、会社の資産として残る
  • 削減時間を、数字で報告できる
📌 いちばん伝えたいこと:「危ないから禁止」も「便利だから全解禁」も、どちらも失敗します。正解は「安全な選択肢を、会社が配る」こと。禁止された現場は、こっそり個人アカウントで使い始めます——それがいちばん危険な状態です。
うごく君より

おかえりなさい、うごく君です。第12回まででGemもノートもそろいましたね。でも、それがあなたのアカウントの中だけにあるなら、まだ会社のものにはなっていません。今回は経営者・管理者向けの回です。この記事を上から15分やり切ると、次の状態になります。

  • いま社内で誰が何を使っているかを把握できる
  • 個人アカウントと法人契約の違いが分かる
  • コピペで作れる社内ルール1枚が手に入る
  • 管理者が押さえるべき設定と権限が分かる
  • 失敗しない展開の順番が決められる
  • 効果を数字で報告できるようになる
30秒でわかる

全社展開でやることは、
3つだけです。

難しい話ではありません。ただし順番を間違えると、必ず失敗します

🏢

1. 器を用意する
= 契約と設定

会社のアカウントに統一し、データの扱いを揃える。ここが土台です。

📜

2. 線を引く
= 社内ルール1枚

入れない情報・使ってよい業務・人が確認する工程。紙1枚で十分です。

📣

3. 順番に配る
= 展開と測定

1部署で実証してから横展開。全社一斉は、ほぼ確実に失敗します

GEMINI MASTER | LESSON 13

第13回:Workspace展開
― チーム全員の標準にする、設定と権限 ―

この回は、経営者・管理者・情報システム担当の方に向けた内容です。所要時間の目安は合計15分です。

💡 最初にこれだけ

AI導入で失敗する会社は、「ツールを配ること」から始めます。うまくいく会社は「1つの業務で、削減時間を実測すること」から始めます。全社にアカウントを配っても、使い方が決まっていなければ誰も使いません。広げるのは、効果が数字で見えてからです。

なぜ「禁止」した会社ほど、危険になるのか

中小企業のAI導入で、いちばん多い失敗パターンです。

POINT 01

禁止しても、使用はなくなりません

会社が禁止すると、現場は個人のスマホ・個人のアカウントで使い始めます。会社からは見えず、何を入力しているかも分からない。これがシャドーAIと呼ばれる状態です。禁止によって生まれるのは「使わない社員」ではなく、「見えないところで使う社員」です。

POINT 02

法人契約のほうが、実は安全

Google Workspace(法人契約)では、入力した内容がモデルの学習に使われない扱いが標準です。管理者側で設定を統一でき、退職時にはアカウントごと止められる。つまり「会社が用意して使わせる」ほうが、放置より安全。ここが分かると、判断が変わります。

失敗しないための、たった2つのルール

RULE 01

全社一斉に配らない

全員にアカウントを配って研修をやる——いちばんお金がかかって、いちばん定着しないやり方です。1部署・1業務・1か月で実証し、削減時間を測ってから広げてください。実績があると、他部署は自分から手を挙げます。

RULE 02

ルールは「紙1枚」に収める

立派な規程集を作っても、誰も読みません。必要なのは①入れてはいけない情報 ②使ってよい業務 ③人が必ず確認する工程の3点だけ。A4一枚にして、休憩室に貼る。それで現場は安心して使い始めます。

この記事のゴール:組織展開にも「3段階」がある

いま自社がどこにいるかを、まず確認してください。

LEVEL 1 / いま多くの会社

個人が勝手に使っている

把握できていない状態。まずここから抜けるのが先決です。

STEP 1・2 で解説
LEVEL 2 / 今回のゴール

会社が用意して、配る

契約とルールを整え、1部署で実証。ここまでで十分に強い会社になります。

STEP 3〜5 で解説
LEVEL 3 / その先へ

数字で回す

効果を測り、改善を回す。ここまで来ると、投資判断ができるようになります。

STEP 6 で解説
STEP1
CHECK / 所要2分
いまの利用実態を、把握する

最初にやるのは、契約でもルールづくりでもありません。いま何が起きているかを知ることです。ほとんどの会社が、ここを飛ばして失敗します。

確認する5つ
  1. 誰が使っているか:把握できている人数と、実際の人数は違います
  2. どのアカウントか:会社のアカウントか、個人のGmailか
  3. 何に使っているか:業務名で。「なんとなく」ではなく具体的に
  4. 何を入力しているか:顧客情報や見積が入っていないか
  5. 誰も知らない自動化がないか:第9回で作ったものが野良で動いていないか
📋 社内アンケート(そのまま使えます)
【AI利用状況アンケート】※評価には一切使いません。実態把握のためです。

1. 仕事でAI(ChatGPT・Gemini など)を使っていますか
 □ ほぼ毎日 □ ときどき □ 使っていない

2. 使っている場合、どのアカウントですか
 □ 会社のアカウント □ 個人のアカウント □ わからない

3. どんな作業に使っていますか(自由記述)

4. 入力したことがある情報に、当てはまるものは
 □ 顧客名や連絡先 □ 見積や原価 □ 社内資料 □ 特にない

5. 「これが自動化できたら助かる」と思う作業(自由記述)
⚠️ 「評価には使わない」と必ず明記してください
この一文が無いと、正直な回答は集まりません。個人アカウントで使っていた人が「怒られる」と思えば、答えないか嘘を書きます。実態が分からないままルールを作っても、意味がありません。責めない前提を、はっきり伝えてください。
うごく君のひとこと5番の「自動化できたら助かる作業」、ここが宝の山なんだ。現場が困っていることが集まるから、次に何を作ればいいかが分かる。ルールづくりより、こっちのほうが盛り上がるよ。
STEP2
PLAN / 所要3分 ★ここが土台
契約形態を、決める

個人アカウントが乱立している状態を、会社のアカウントに一本化します。これだけで、リスクの大半が片づきます

見えていない状態 個人 個人 個人 個人 個人 誰が何を入力したか分からない 会社が用意した状態 会社のアカウント(管理者あり) 社員 社員 社員 社員 学習に使われない扱い・退職時は停止 Gemもノートも、会社の資産に
禁止するより、安全な選択肢を配るほうが確実です。
個人アカウントと、法人契約の違い
観点個人アカウントGoogle Workspace(法人)
入力内容の学習設定による学習に使われない扱いが標準
管理者による統制できない設定を統一できる
退職時本人のものとして残るアカウントごと停止・引き継ぎ可
作ったGem・ノート本人と一緒に消える会社の資産として残る
社内共有制限あり組織内で共有できる
会社の資料へのアクセスつながらないドライブ・Gmailと連携
うごく君のひとこともう払っているかもしれない」——これ、意外と多いんだ。Workspaceを契約している会社が、別途AIツールにも課金しているケース。契約内容を確認するだけで、コストが下がることもあるよ。
STEP3
RULE / 所要3分
社内ルールを、紙1枚にする

立派な規程は要りません。現場が読める1枚を作ってください。これがあるだけで、社員は安心して使い始めます。

📋 社内AI利用ルール(A4一枚・雛形)
〔会社名〕 AI利用ルール】〔◯年◯月〕制定

■ 1. 使ってよいAI
・会社が用意したアカウントで、〔Gemini〕を使用してください
・個人のアカウントでの業務利用は行わないでください

■ 2. 入力してはいけない情報
・お客様の氏名・連絡先など、個人が特定できる情報
・見積の原価、未公開の数字、取引条件
・他社から預かった秘密情報
・従業員の評価・健康に関する情報
※判断に迷ったら、入力せずに〔上長〕に相談してください

■ 3. 使ってよい業務(例)
・文章の下書き、要約、翻訳、アイデア出し
・社内資料の作成、集計、調査の下準備
※〔契約・法務・人事評価〕に関する判断には使用しないでください

■ 4. 必ず人が確認する工程
・社外に出す文書は、送信・公開の前に必ず人が読む
・金額・日付・法令・固有名詞は、原本で確認する
・AIの回答をそのまま提出しない

■ 5. 困ったとき
・相談先:〔担当者名・連絡先〕
・失敗しても報告してください。責めません。改善に使います
⚠️ 5番の「責めません」を、必ず入れてください
事故が起きたときにすぐ報告が上がるかどうかが、被害の大きさを決めます。責める文化だと、報告が遅れて傷が深くなる。「失敗しても報告してください」の一行が、いちばん実用的なリスク対策です。
この1枚に、書きすぎないこと

法令の解説、技術的な仕組み、細かい例外——これらを足すほど読まれなくなります。足したくなったら、別紙にする。1枚は1枚のままにしてください。

うごく君のひとことこのルール、作る過程を現場と一緒にやるのがおすすめ。「これは入れていいの?」って議論そのものが教育になるんだ。上から降ってきたルールより、ずっと守られるよ。
STEP4
ADMIN / 所要3分
管理者側の、設定と権限

ここは情報システム担当がいない会社でも、決めておくべき項目だけ押さえてください。操作方法より、何を決めるかが大事です。

決めておく6項目
1共有の既定値

ドキュメントやノートの共有が、既定で「リンクを知っている全員」になっていないか。組織内限定を既定にしてください。ここが最も事故の多い設定です。

2外部共有のルール

社外の相手とファイルを共有する場合の手順。誰の承認が必要か、期限をつけるか。全面禁止にすると業務が回らないので、条件を決めてください。

3誰にどの機能を許すか

全員に全機能を開放する必要はありません。まずは実証する部署だけから始め、様子を見て広げるのが安全です。

4Gem・ノートの管理者

誰が作成でき、誰が編集でき、誰が削除できるか。第11回・第12回で作った資産の管理担当を一覧表で持ってください。

5退職・異動時の手順

アカウント停止、ファイルの引き継ぎ、Gem・ノート・自動化スクリプトの移管。ここを決めていない会社が本当に多いです。

6棚卸しの日

四半期に1回、アカウント一覧・Gem一覧・自動化一覧・外部共有の状況を確認する日を決める。30分で終わります

⚠️ 退職時に、資産が消える会社があります
個人アカウントで作られたGem・ノート・自動化スクリプトは、その人が辞めた瞬間に使えなくなります。「あの便利な仕組み、誰も直せない」——実際によくある話です。重要なものは会社のアカウントで作ることを、STEP3のルールに追記してもよいでしょう。
うごく君のひとこと1番の「共有の既定値」だけは、今日中に確認してほしいな。ここが緩いと、第11回で作った社内辞書が外から見えることもある。設定1つで防げることだからね。
STEP5
ROLLOUT / 所要2分
展開の順番を、決める

ここが分かれ目です。全社一斉は、ほぼ確実に失敗します。順番を守れば、同じ予算で結果がまったく違います。

90日ロードマップ
時期やること対象成果物
1〜2週目実態把握・契約確認・ルール1枚経営層+担当者社内ルール(A4一枚)
3〜4週目1部署・1業務で実証開始推進役1〜3名Gem 1体・削減時間の記録
5〜8週目実測・改善・Gemを3体に同じ部署削減時間の実績データ
9〜12週目実績をもとに横展開他部署へ社内勉強会・Gem一覧表
四半期ごと棚卸しと見直し管理者点検記録
推進役の選び方(これが最重要)
  • パソコンが得意な人ではなく、業務を分かっている人:手順を言葉にできる人が向いています
  • 面倒くさがりな人:「もっと楽をしたい」という動機が、いちばん強い
  • 1人にしない:2〜3名で。1人だと辞めたとき止まりますし、相談相手も必要です
  • 時間を確保する:「通常業務の合間に」では進みません。週2時間でいいので、正式に確保を
⚠️ 「使え」と号令をかけないでください
第12回でも触れましたが、押しつけは反発を生みます。効くのは実績です。「◯◯部が月20時間減らした」という事実が社内に伝わると、他部署は自分から聞きに来ます。号令より、1つの成功事例。これが中小企業では圧倒的に効きます。
うごく君のひとこと推進役に「面倒くさがりな人」を選ぶの、冗談じゃないんだ。真面目な人は手作業を頑張っちゃうけど、面倒くさがりな人は本気で楽をする方法を探す。いちばん成果が出るタイプだよ。
STEP6
MEASURE / 所要2分
効果を、数字で測る

最後の2分です。測っていない導入は、続きません。予算の話になったとき、感想では通らないからです。

測るのは、この3つだけ
1
削減時間(いちばん重要)業務ごとに「前は◯分、いまは◯分、月◯回」。確認や手直しの時間も含めて測ること。含めない数字は、社内で必ず崩れます。
2
使っている人数アカウント数ではなく、週1回以上実際に使っている人数。ここが増えないなら、使い方に問題があります。
3
できるようになったこと時間では測れない価値。「これまで手が回らず諦めていた業務ができるようになった」——これが実は最大の成果です。
📋 月次の効果報告テンプレ
【AI活用 月次報告】〔◯月分〕

■ 削減時間
・〔業務名〕〔従来◯分 → 現在◯分〕×月〔◯〕回 = ▲〔◯〕時間
(確認・手直しの時間を含む実測値)
・合計:▲〔◯〕時間/月 = 約〔◯〕円相当

■ 利用状況
・週1回以上使っている人数:〔◯〕名 / 対象〔◯〕名

■ 新しくできるようになったこと
・〔これまで手が回らなかった◯◯に着手できた〕

■ 課題と次の一手
・〔◯◯が定着していない。原因は…〕
・来月:〔◯◯部へ横展開〕
研修費用と助成金について

社内研修として実施する場合、人材開発支援助成金などの制度を活用できる可能性があります。ただし対象となる訓練の内容・時間・申請時期などの要件は毎年更新されるため、必ず最新の公募要領と、管轄の労働局にご確認ください。要件を満たすかどうかは、計画段階で確認しておくのが確実です。

うごく君のひとこと3番の「できるようになったこと」、忘れないでね。時間削減だけを追うと、「で、浮いた時間で何をしたの?」と聞かれて詰まる。諦めていた仕事に着手できた——これがいちばん経営に効く報告だよ。

費用対効果を「時間」で見える化する

全社展開の効果は、1人あたりの削減時間 × 人数で決まります。中小企業の現場でよく見る目安です(業務内容により変動します)。

状態使う人数1人あたり削減月の合計
個人が勝手に使っている2〜3名月5時間▲15時間
1部署で実証中5名月15時間▲75時間
全社に展開(20名)15名月15時間▲225時間

📐 かんたんな損益分岐の出し方

1席あたり
月数百円〜
÷ 時給2,500円 1人が月10分
時短すれば元が取れる

ツールの費用は、実は問題になりません。本当のコストは、展開にかかる人の時間です。だからこそ順番が大事で、1部署で実証して数字を出すことが、いちばんの節約になります。

⚠️ 数字を出すときの注意
「使っている人数」はアカウント数ではなく、週1回以上実際に使っている人数で数えてください。配っただけで使われていない状態を「導入済み」と数えると、判断を誤ります。

プロが見ている、全社展開でやりがちな8つの落とし穴

研修の現場で、実際によく見る順に並べました。心当たりがあるものから直してください。

1️⃣禁止して終わりにする

  • 見えないところで使われるだけ
  • 直し方:安全な選択肢を会社が配る

2️⃣全社一斉に配る

  • いちばん高くつき、いちばん定着しない
  • 直し方:1部署・1業務・1か月から

3️⃣ルールを立派に作りすぎる

  • 規程集は誰も読まない
  • 直し方:A4一枚。3項目だけ

4️⃣共有の既定値を確認しない

  • 社内資料が外から見える状態に
  • 直し方:組織内限定を既定にする

5️⃣推進役に時間を与えない

  • 「合間に」では絶対に進まない
  • 直し方:週2時間を正式に確保

6️⃣退職時の手順を決めていない

  • Gem・ノート・自動化が全部消える
  • 直し方:会社のアカウントで作る

7️⃣効果を測っていない

  • 予算の話で、感想では通らない
  • 直し方:削減時間を実測する

8️⃣失敗を責める

  • 報告が上がらず、事故が大きくなる
  • 直し方:ルールに「責めません」を明記

最初の実証に選ぶなら、この業務

効果が数字で出やすく、失敗しても傷が浅い業務を選んでください。

🏗️建設・現場で

  • 元請けへの週次報告(第4回・第12回)
  • 手書き日報の入力(第3回)
  • 見積比較の一覧化(第3回)
  • 安全書類のチェック(第11回)

🏪店舗・飲食で

  • クチコミ返信(第12回)
  • シフト・連絡文の作成(第4回)
  • SNS投稿とPOP(第7回)
  • 新人研修の教材(第11回)

🧑‍💼事務・経営で

  • メール返信(第4回)※効果最大
  • 月次集計と報告(第6回・第9回)
  • 会議の準備と議事録(第8回)
  • 補助金・制度の調査(第5回)

ここに「自立型AI」が加わると、何が変わるか

自立型AIを組織で使う段階になると、統制の重要性が一段上がります。エージェントは複数のアプリを横断して動くため、権限設計がそのまま安全性になるからです。今日決めた6項目は、その前提そのものです。

🔭 いちばん大事な前提

自立型AIの導入で問われるのは、モデルの性能ではなく「会社としてどこまで任せるかを決められるか」です。承認が必要な工程、触らせない領域、止め方。これを決められる会社だけが、安全に速く進めます。逆に、いま権限が曖昧な会社は、AIを入れるほど混乱します。順番を、間違えないでください。

✅ 組織として整えるべきこと 必須
  • 承認が必要な工程の明文化
  • 連携してよいアプリの範囲
  • 止め方と、緊急時の連絡先
  • 自動化・Gem・ノートの一覧管理
  • 四半期ごとの棚卸し
⛔ 決めないまま進めない 要注意
  • 誰が何を承認するかが不明確なまま
  • 外部共有の既定値を確認しないまま
  • 退職時の手順が無いまま
  • 個人アカウントが混在したまま
  • 効果も費用も測らないまま
うごく君のひとことここまで来ると分かると思うけど——AI導入って、実は組織の話なんだ。技術の問題はほとんど無い。決めるべきことを決められるかどうか。それだけだよ。

つまずいたときのチェックリスト

情報システム担当がいません。誰がやればいいですか
中小企業では珍しくありません。専門知識より「決める権限」が必要な作業なので、経営者か、それに近い立場の方が担当するのが現実的です。技術的な設定は外部に相談してもよいのですが、STEP3のルールとSTEP5の展開順序だけは、社内で決めてください。ここは外注できません。
社員から「監視されているようで嫌だ」と言われた
目的を伝え方を変えてください。「誰が何を使ったか見る」ためではなく、「安全に使える環境を用意する」ためです。実際、個人アカウントで業務利用するほうが本人にとってもリスクがあります(退職時に業務データが本人に残る、など)。STEP1のアンケートに「評価には使わない」と明記したのも、同じ理由です。
すでに個人アカウントで作ったGemやノートがあります
移行の方法は環境によって異なりますが、多くの場合中身(手順のテキストと資料)を書き出して、会社のアカウントで作り直すのが確実です。手間はかかりますが、この機会に不要なものを整理できます。移行が終わるまでは、個人アカウント側のものを一覧表に載せて把握しておいてください。
実証してみたが、思ったより時間が減らない
選んだ業務が合っていない可能性があります。第9回の判断基準(頻度が高い・手順が決まっている・入口と出口が同じ形)に照らして見直してください。もう一つ多いのは、確認に時間がかかっているケース。この場合は、出典や根拠を書かせる指示(第3回・第11回)を足すと改善します。
導入の効果を、経営会議でどう説明すればいいですか
STEP6の3項目で十分です。①削減時間(確認時間込みの実測値)②週1回以上使っている人数 ③これまで諦めていたのにできるようになったこと。とくに③が効きます。時間削減だけだと「浮いた時間で何をしたのか」と必ず聞かれるためです。

安全に、かしこく使うために

1禁止ではなく、配る

禁止された現場は、見えないところで使い始めます。会社が安全な選択肢を用意するほうが、はるかに確実です。

2共有の既定値を確認する

「リンクを知っている全員」になっていないか。組織内限定を既定に。設定1つで防げる事故です。

3退職時の手順を決める

アカウント停止、ファイル・Gem・ノート・自動化の引き継ぎ。重要なものは会社のアカウントで作ってください。

4失敗を責めない

報告が早ければ、被害は小さく済みます。ルールに「責めません」と書くことが、最も実用的なリスク対策です。

よくある質問

何人くらいの規模から、法人契約にすべきですか
人数より「業務で使い始めたかどうか」で判断してください。1人でも、顧客とのやりとりや社内資料を扱うなら、会社のアカウントで行うべきです。逆に、個人的な調べもの程度なら急ぐ必要はありません。判断の基準は、その情報が漏れたら困るかどうかです。
まず何から手をつければいいですか
3つだけです。①現在の契約内容の確認(すでにAI機能が含まれているかもしれません)②共有の既定値の確認 ③STEP1のアンケート。この3つは今週中に、費用をかけずにできます。ルールづくりも展開も、実態が分かってからで十分です。
他のAIツールも併用してよいですか
問題ありません。ただしルールは共通にしてください。「入れてはいけない情報」「人が確認する工程」は、どのツールでも同じです。ツールごとに別のルールを作ると、現場が混乱します。STEP3の1枚を、ツール名を書かずに作っておくのが実用的です。
研修は、外部に頼むべきですか
社内に推進役がいるなら、社内で回せます。外部に頼む価値があるのは、①最初の設計(何から始めるかの判断)②社内で言いにくいことを言ってもらう ③助成金を含めた制度面の整理の3点です。全部を任せるより、設計だけ相談して実行は社内でのほうが、結果的に定着します。
研修として社内に導入する場合、助成金は使えますか
人材開発支援助成金など、要件を満たせば活用を検討できる制度があります。ただし対象コース・訓練時間・申請時期などの要件は毎年更新されるため、必ず最新の公募要領と、管轄の労働局へのご確認をお願いします。計画段階で要件を確認しておくと、あとから慌てずに済みます。UGOKU AIでは、要件の整理からご相談いただけます。

理解度チェック(3問・1分)

読んだだけだと、たいてい3日で忘れます。3問だけ答えて、記憶に固定してから閉じてください。

🧠 3問クイズ

選ぶだけ。すぐに答えと解説が出ます。

1「情報漏洩が心配だからAI禁止」にすると、何が起きる?
正解:見えないところで使われる。禁止によって生まれるのは「使わない社員」ではなく「見えないところで使う社員」です。会社が安全な選択肢を配るほうが、放置より確実に安全になります。
2全社展開のとき、いちばん失敗しやすいやり方は?
正解:全社一斉。いちばんお金がかかって、いちばん定着しないやり方です。効くのは号令ではなく実績。「◯◯部が月20時間減らした」と伝わると、他部署は自分から聞きに来ます。
3社内ルールに必ず入れるべき、意外な一文はどれ?
正解:「責めません」。事故が起きたときすぐ報告が上がるかが、被害の大きさを決めます。責める文化だと報告が遅れて傷が深くなる。この一行が、最も実用的なリスク対策です。

このシリーズの進み方(全15回+番外編)

1回あたり10〜15分、上から順に積み上がる設計です。整える→頼む→読ませる→書かせる→調べる→作る→任せる→広げるの順で進みます。

テーマこの回で手に入るもの時間
第1回Geminiの基礎Googleとつながったワークスペース15分
第2回伝わる頼み方材料を名指しするプロンプトの型10分
第3回ドライブ横断の資料分析探さずに、まとめて要点化する15分
第4回Gmail連携のメール術受信トレイを離れずに返信を終える10分
第5回Deep Research出典つき調査レポートと、裏取りの手順15分
第6回スプレッドシート分析関数を書かずに集計・グラフ化10分
第7回画像・動画の制作POP・バナー・短尺動画の内製化15分
第8回会議の準備と議事録カレンダー連携と、録音→決定事項10分
第9回タスク自動化定型処理を書かせて消す15分
第10回Canvas会話ではなく“編集画面”で仕上げる10分
第11回Gemini Notebook自社資料だけで答える社内辞書15分
第12回Gemの量産役割ごとのAI担当者を並べる10分
第13回Workspace展開(この記事)チーム全員の標準にする設定と権限15分
第14回高度なプロンプト自分で考えさせる指示の組み立て10分
第15回フルワークフロー1〜14をつないだ完全AI自動化システム15分
番外編総括/セキュリティ情報漏洩・コンプライアンス・社内規程の型15分
COMPLETE

最後まで読んでくれて、ありがとう。

上のチェックを埋めていくと、進み具合がここに出ます。全部でなくて大丈夫。1つでも実際にやった人から、確実に変わっていきます。

0 / 6 ステップ完了
🎓 第13回の宿題

この記事を閉じる前に、①現在の契約内容 ②共有の既定値——この2つだけ確認してください。それだけで第13回は合格です。どちらも費用ゼロ・数分で終わり、しかも会社を守ります。次の第14回では、「自分で考えさせる指示の組み立て」 高度なプロンプトを扱います(所要10分)。

無料AI化診断

設計図はできた。
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所要時間は数分です。スマホからそのまま回答できます。