残り 10
Gemini実践シリーズ 第2回 | 所要10分

同じAIでも、
材料の渡し方で答えが変わる。

Geminiで差がつくのは、うまい日本語を書けるかどうかではありません。どの資料を見て答えるのかを指定できるかどうかです。第1回でつないだドライブとGmailを、ここで実際に使い倒します。

案内役はこの子、うごく君。つまずきやすいポイントを、先回りして教えます。
🏁 結論から言います

この10分を終えると、Geminiは
「検索の代わり」から「うちの事情を知っている人」に変わります。

読むだけでは変わりません。でも、この記事の型を1回使うだけで、次のような差がその日のうちに出ます。

BEFORE / 今のあなた
  • ネットのどこかで拾ってきたような一般論が返る
  • 資料の中身を、毎回コピペで貼り付けている
  • 「もっと良くして」を4回繰り返して力尽きる
  • 結局、自分で書き直したほうが速い
  • ドライブをつないだのに、使い道が分からない
AFTER / 10分後のあなた
  • 自社の資料を根拠にした答えが、1回目から出る
  • 貼り付け作業がゼロ。ファイル名を言うだけ
  • 直しは1回。しかも一言で狙って直せる
  • やり直し4回 → 1回。1業務あたり約12分の短縮
  • 効いた型を保存して、翌日から使い回せる
📌 Geminiならではの部分:他のAIでは「資料をアップロードする」ところから始まります。Geminiは「@」でドライブやGmailの中身を名指しできる——ここが最大の差です。STEP2で、その書き方をテンプレごとお渡しします。ここだけでも読む価値があります。
うごく君より

おかえりなさい、うごく君です。第1回で「土台」はできましたね。今回は、その上に載せる頼み方です。「プロンプトって難しそう」と思った方、安心してください。覚えるのは3行から。この記事を上から10分やり切ると、次の状態になります。

  • どんな相談でも使える3行の基本形が手に入る
  • Geminiの本命、材料の名指しができるようになる
  • 仕事で使えるフル装備の型を、コピペで持ち帰れる
  • 2026年の新常識「ゴール先行型」が使い分けられる
  • 1回で決めず、往復で仕上げる直し方が身につく
  • 効いた型を保存して資産にする方法が分かる
30秒でわかる

「伝わる頼み方」って、
結局なにを足すの?

足すのは3つだけです。この3つが入っていれば、文章の上手さは関係ありません。

🎭

1. 立場
= 誰として考えるか

「採用担当として」「現場監督として」。同じ質問でも、立場を決めるだけで答えの深さが変わります。

📎

2. 材料
= 何を見て答えるか

ここがGeminiの本命。ドライブの資料・受信メール・スプレッドシートを名指しで渡します。

📐

3. 合格条件
= どうなっていればOKか

字数・見出し・トーン・禁止事項。ここを決めておくと、直しの往復が激減します。

GEMINI MASTER | LESSON 02

第2回:伝わる頼み方
― 10倍の結果を引き出すプロンプトの型 ―

パソコンが得意でない方でも、上から順に進めるだけで終わるように作りました。所要時間の目安は合計10分です。

💡 最初にこれだけ

プロンプトに必要なのは文章力ではなく、発注力です。上手な日本語を書く力ではなく、「誰として・何を見て・どうなっていれば合格か」を渡す力。だから、文章が苦手な方でも今日から差がつきます。

なぜ「頼み方」だけで、ここまで差がつくのか

Geminiが察してくれない理由は、性能ではなく構造にあります。

POINT 01

Geminiは「部下」ではなく「鍵を預けた優秀な外注先」

第1回でドライブとGmailをつないだので、Geminiはあなたの資料棚の鍵を持っている状態です。ただし、鍵を持っているだけで、勝手に引き出しを開けたりはしません。「どの棚を見て」と言われて、初めて見にいきます。「一般論しか返ってこない」の正体は、たいていこれです。

POINT 02

ぼんやりした答えは、性能の限界ではなく“材料切れ”のサイン

AIは分からない部分を「一般論」で埋めます。つまり一般論が返ってきた箇所=あなたが渡し忘れた箇所。答えを読めば、次に何を足せばいいかが分かる、という関係です。Geminiの場合、足すべきものは文章ではなく資料の名前であることがほとんどです。

失敗しないための、たった2つのルール

RULE 01

1回で完璧を狙わない

プロほど2〜3往復で仕上げます。最初の1発で決めようと長文を書き込むより、短く投げて→直すほうが速くて正確。「一発必中の魔法の呪文」を探すのは、いちばん時間を溶かすパターンです。

RULE 02

曖昧語を、数字と固有名詞に置き換える

「いい感じに」「しっかり」「ちゃんと」——この3語が入っていたら、必ず具体化します。誰が読んでも同じ絵が浮かぶ言葉にするだけで、出力の精度は目に見えて上がります。置き換え表は、このあとSTEP1で用意しました。

この記事のゴール:頼み方には「3段階」がある

全部を今日やる必要はありません。まずレベル1、慣れたらレベル2。レベル3は仕事を任せる段階です。

LEVEL 1 / 今日から

3行プロンプト

立場・依頼・形式の3行だけ。日常のほぼ8割はこれで足ります。

STEP 1 で解説
LEVEL 2 / Geminiの本命

材料を名指しした型

ドライブ・Gmailの実物を根拠にさせる。ここで一般論が消えます。

STEP 2・3 で解説
LEVEL 3 / 2026年の新常識

ゴール先行型

手順ではなく「目的地と合格条件」を渡す。自立型AIに繋がる書き方です。

STEP 4 で解説
STEP1
BASIC / 所要2分
まずは「3行プロンプト」だけ覚える

難しい型は後回しでかまいません。日常業務の8割は、この3行で十分に戦えます。順番も、この通りで固定してください。

3行の中身
1
立場(誰として)あなたは〜の専門家です/〜歴20年の現場監督です
2
依頼(何を、誰に向けて)〜向けに、〜を作ってください
3
形式(どんな形・量・トーン)箇条書き5つ/表/400字/丁寧に
あなたが書く3行 1 立場 あなたは〜の専門家です 2 依頼 〜向けに、〜を作ってください 3 形式 400字・箇条書き・丁寧に 1回目の答えが そのまま使える 直しは1回で済む 返ってくるもの
順番は「立場 → 依頼 → 形式」。この並びがいちばん安定します。
✕ もったいない例
「求人票を書いて」
→ どこの会社の話か分からず、当たり障りのない文章に
◎ 効く例
「あなたは中小企業の採用担当です。未経験の20代向けに、当社の求人票を作ってください。出力は400字で、1日の仕事の流れが分かる構成、親しみやすいトーンで。」
曖昧語は、この言い換えで消える

左の言葉が出てきたら、右に置き換えるだけ。これだけで出力が締まります。

いい感じに30代女性が「自分ごと」と感じる表現で
短く200字以内、3文まで
しっかり説明して中学生が読んで分かる言葉で、例を1つ添えて
たくさん出して切り口を変えて7案、重複なしで
プロっぽく社外向けの敬語、結論先出し、装飾語なしで
まとめて決定事項・宿題・期限の3見出しの表で
⚠️ 順番を入れ替えないでください
「立場 → 依頼 → 形式」の順が最も安定します。形式を先頭に書くと、AIが体裁づくりに寄ってしまい、中身が薄くなることがあります。誰として考えるかを、いちばん最初に。
うごく君のひとことこの3行、スマホのメモ帳に貼っておくのがおすすめ。第1回で「保存された情報」を書いた人は、立場の行はもう省略できるよ。設定した分だけ、毎回のプロンプトは短くなるんだ。
STEP2
SOURCE / 所要2分 ★Gemini の本命
「何を見て答えるか」を名指しする

ここがこの記事のいちばん重要なステップです。ほかのAIなら、資料を探して、開いて、コピーして、貼り付ける——この4工程が必要です。Geminiはファイルの名前を言うだけで済みます。

材料の渡し方は、4通り
📁 ドライブのファイル名を書く ✉️ 受信メールを指す 📊 スプレッドシートを指す 📅 カレンダーの予定を指す 📷 写真をその場で添付 🔗 WebページのURL 📄 PDFをアップロード
書き方
  1. 入力欄で 「@」 を打つ(対応環境ではファイル候補が出ます)
  2. 候補から選ぶ。出てこない場合はファイル名を文中に書くだけでも伝わります
  3. 「〜を読んだうえで」と続けて、依頼を書く
  4. 答えの中で、どの資料のどこを根拠にしたかを書かせる
📋 材料を名指しするテンプレ
ドライブの〔◯◯現場 日報〕フォルダの、直近1週間分を読んでください。
そのうえで、〔元請けの現場監督〕向けの週次報告を作ってください。
・見出しは「進捗」「課題」「来週の予定」の3つ
・全体で400字以内、敬体
・数字は資料に書かれているものだけを使う(推測は書かない)
最後に、どの日報のどの記述を根拠にしたかを箇条書きで示してください。
✕ 材料を渡さない 「先週の現場の報告書を  書いておいて」 → 一般論のひな形が返る ◎ 材料を名指しする 「ドライブの『◯◯現場 日報』を  読んだうえで、報告書を」 「安全に配慮し、順調に 進捗しております」 …どの現場でも使える文章 「3階部分の足場解体が 2日前倒しで完了。次週は…」 …そのまま出せる文章
同じ依頼でも、材料の有無で出力はここまで変わります。
⚠️ 見えていないものは、書けません
Geminiが読めるのはあなたの権限で開ける範囲だけです。共有されていないフォルダ、他人のドライブ、紙のままの書類は対象外。「見つからない」と言われたら、まずそのファイルを自分が開けるかを確認してください。あわせて、顧客の個人情報が入ったファイルを材料に使うときは、社内ルールの確認を先に。
うごく君のひとこと最後の1行「どの資料のどこを根拠にしたか書いて」は絶対に入れてね。これがあるだけで、AIの作り話(ハルシネーション)にすぐ気づけるし、上司に見せるときの説得力もまるで違うよ。
STEP3
FULL / 所要2分
仕事で使う「フル装備の型」

品質を人に依らせたくない業務——求人票、報告書、クチコミ返信——は、見出しで区切った型を使います。だらだら書くより、ブロックに分けるほうがはるかに安定します。

6つのブロック
1
役割誰として考えるか
2
目的この文章が何を達成すれば成功か
3
材料どの資料・どのメールを見るか
4
手順どういう順で考えるか
5
条件字数・見出し・トーン
6
禁止書いてはいけないこと
📋 フル装備の型(そのままコピー)
【役割】あなたは〔当社の採用担当〕です。
【目的】〔未経験の20代から応募が1件でも増える求人票を作る〕
【材料】ドライブの〔既存の求人票/先輩社員インタビュー〕を読んでください。
【手順】
1. 材料から、応募者が知りたい情報を洗い出す
2. 不安になりそうな点を先回りして潰す
3. 1日の流れが浮かぶ構成で書く
【条件】400字以内・敬体・見出し3つ・専門用語には注釈
【禁止】材料に無い実績や数字を書かない。他社批判を書かない。
不足している情報があれば、書き始める前に質問してください。
うごく君のひとこといちばん効くのは実は【禁止】の欄なんだ。「材料に無い数字を書かない」の一行を入れるだけで、それっぽい嘘がガクッと減るよ。忙しい人ほど、ここだけは書いてほしい。
STEP4
OUTCOME / 所要2分 ★2026年の新常識
手順ではなく「合格条件」を渡す

2026年に入り、AIへの頼み方は大きく変わりました。細かい手順を指示するのではなく、「どこに着けば合格か」だけを渡して、進め方はAIに考えさせる書き方です。自立型AIに仕事を渡すときの標準形でもあります。

△ これまで(手順指定)
「まず競合を3社調べて、次に価格を表にして、最後に所感を書いて」
→ 指示した以上のことは出てこない
◎ ゴール先行型
「来週の会議で、値上げの可否を決めたい。判断できる材料が揃った資料にしてください。
合格条件:①判断軸が3つ以上 ②数字に出典がある ③反対意見も併記 ④A4見開き1枚」
→ 想定していなかった論点まで出てくる
📋 ゴール先行型のテンプレ
【達成したいこと】〔来週の会議で、◯◯を決められる状態にする〕
【使ってよい材料】〔ドライブの◯◯フォルダ/このメール〕
【合格条件】
・〔判断軸が3つ以上ある〕〔数字はすべて出典つき〕〔反対意見も1つ書かれている〕〔A4見開き1枚に収まる〕
進め方はお任せします。着手する前に、進め方の案を3行で教えてください。
⚠️ 使い分けの一線
ゴール先行型は「進め方に幅があってよい仕事」向けです。決まった様式の書類、法令に沿う定型業務、様式が指定されている申請書などは、従来どおり手順を指定してください。ブレていい仕事はゴール先行、ブレてはいけない仕事は手順指定。この一線で使い分けます。
うごく君のひとこと最後の「着手する前に、進め方の案を3行で」がポイント。走り出す前に方向を確認できるから、丸ごとやり直しになる事故が防げるよ。人に仕事を頼むときと同じだね。
STEP5
REPAIR / 所要1分
往復で仕上げる、4つの手

1回目が微妙でも、慌てて作り直さないでください。直し方を知っているかどうかで、かかる時間が3倍変わります。使うのはこの4つだけです。

4つの直し方
  • 場所と方向をセットで:「2段落目の『弊社と致しましては』を話し言葉に。他は変えないで」——曖昧な指示には曖昧な修正しか返りません。
  • お手本を見せる:「この文体に寄せて」と、過去の良い文章を貼る。説明するより速いです。
  • 候補を出させる:「見出しだけ、切り口を変えて5案」。全文を作り直させるより効率的です。
  • 自分で採点させる:「上の合格条件に照らして、この文章を10点満点で採点し、足りない点を直して」。これが一番効きます。
📋 いちばん効く直しの一言
いま出してくれた文章を、先ほどの合格条件に照らして10点満点で採点してください。
減点した理由を箇条書きで挙げたうえで、9点以上になるよう直してください。
直したのはどこか、最後に一言で教えてください。
うごく君のひとこと「もっと良くして」は禁句にしよう。どこを・どう+「それ以外は変えないで」。この形にするだけで、往復が半分になるよ。
STEP6
SAVE / 所要1分
効いた型を、その場で保存する

ここを飛ばす人が本当に多いのですが、今日の10分がムダになるかどうかは、ここで決まります。うまくいったプロンプトは、必ず保存してください。

保存先の使い分け
保存するもの置き場所理由
自分の立場・文体の指定保存された情報全会話に自動で効くから
業務ごとのフル装備の型Gem人に配れるから(第12回)
1回きりの実験メモ帳・ドキュメント育ってから昇格させればよい
うごく君のひとことAIがうまい人って、すごい呪文を知っている人じゃなくて、自分の型を貯めている人なんだ。今日の1本が、その1本目になるよ。

結局、いつどの型を使えばいい?

迷ったときの早見表です。ほとんどの業務は、上2つで足ります。

こんなとき使う型材料の指定目安時間
ちょっと聞きたい・案を広げたい3行プロンプト不要10秒
自社の資料を根拠に書かせたい3行+材料の名指し必須30秒
品質を毎回そろえたい定型業務フル装備の型必須初回3分・以降10秒
考える所から任せたいゴール先行型必須1分
様式が決まっている書類手順を指定した型必須2分

費用対効果を「時間」で見える化する

型の効果は、やり直しの回数に出ます。1回のやり直しに3〜4分かかるとして、往復が減った分がそのまま削減時間です。

よくある業務型なし(往復回数)型あり月20回で
元請けへの週次報告4回・約18分1回・約5分▲4.3時間
求人原稿の作成5回・約25分1回・約7分▲6時間
クチコミ返信3回・約12分1回・約3分▲3時間
会議資料のたたき台5回・約30分2回・約10分▲6.6時間

📐 かんたんな損益分岐の出し方

やり直し1回
=約4分
× 減った往復
(例 3回)
1業務あたり
約12分の短縮

1日3業務でも、1か月で約12時間。時給2,500円換算なら約3万円分です。まず1業務、1か月、実測。この数字が出せると、社内の説得もほぼ終わります。

⚠️ 数字を出すときの注意
「往復が減った」は、確認と手直しの時間を含めて測ってください。AIの下書きを鵜呑みにできない以上、チェック時間は必ず発生します。ここを含めない試算は社内で必ず崩れます。含めても十分に速い——それが正直な結論です。

初心者がやりがちな、7つの落とし穴

研修の現場で、実際によく見る順に並べました。心当たりがあるものから直してください。

1️⃣材料を渡さずに「察して」もらおうとする

  • いちばん多い失敗。返ってくるのは一般論
  • 直し方:ドライブのファイル名を1つ足すだけ

2️⃣長く書けば効くと思っている

  • 1,000字の指示より、材料1本のほうが効く
  • 直し方:3行+材料に戻す

3️⃣禁止事項を書いていない

  • 「無い数字を書かない」が無いと、それっぽい嘘が出る
  • 直し方:【禁止】を1行足す

4️⃣1つの会話で複数案件を扱う

  • A店の前提がB店の答えに混ざる
  • 直し方:案件ごとに新しい会話を開く

5️⃣「もっと良くして」で直そうとする

  • 曖昧な指示には曖昧な修正しか返らない
  • 直し方:場所と方向をセットで

6️⃣出典を確認せずに社外に出す

  • 数字・法令・固有名詞は、もっともらしく間違える
  • 直し方:根拠を書かせ、一次情報で確認

7️⃣うまくいった型を保存しない

  • 毎回ゼロから書き直す人が、いちばん疲れる
  • 直し方:STEP6。ドキュメント1本でいい

型が効く、局面別の使いどころ

「何に使えばいいか分からない」を消すための一覧です。まずこの中から、自分が今週やる予定のものを1つ選んで試してみてください。

🏪店舗・現場で

  • 日報フォルダを材料に、元請けへの週次報告
  • 過去のクチコミ返信を材料に、文体をそろえた返信
  • 現場写真を添付して、作業内容の記録文へ
  • 既存の求人票を材料に、応募が来ない原因の洗い出し

🧑‍💼デスクワークで

  • 受信メールを材料に、返信の下書きを3案
  • 複数の見積書を材料に、比較表を作らせる
  • 議事録を材料に、決定事項と宿題だけ抽出
  • スプレッドシートを材料に、前月比の要因を説明させる

📚学び・暮らしで

  • 撮った書類の写真を材料に、要点だけ翻訳
  • 学校からのプリントを材料に、持ち物リスト化
  • 家計の記録を材料に、削れる支出を提案させる
  • 参考書の写真を材料に、10問のクイズを作らせる

ここに「自立型AI」が加わると、何が変わるか

2026年5月のGoogle I/Oで発表された Gemini Spark のような自律型エージェントは、目標を渡すと工程を自分で分解し、複数のアプリを横断して仕事を進めます。ここで効いてくるのが、STEP4のゴール先行型です。手順を並べる書き方のままでは、エージェントの良さがまったく出ません。

🔭 いちばん大事な前提

自立型AIへの指示は、「作業指示書」ではなく「発注書」です。何をどうやるかではなく、何が出来上がっていれば合格か・どこまで勝手にやってよいか・どこで止まって聞くべきか。この3点を書けるかどうかが、そのまま成果の差になります。

✅ 書き足すべき3行 必須
  • 合格条件(何が揃っていればOKか)
  • 使ってよい材料と、使ってはいけない材料
  • 止まって確認すべきタイミング
⛔ 渡してはいけない指示 要注意
  • 「あとはよろしく」だけの丸投げ
  • 送信・発注・支払いまで一気に許す指示
  • 個人情報を含むデータの一括処理
  • 検算されていない数字を、そのまま外部へ出す指示
うごく君のひとこと「危なそうだから禁止」も、「便利そうだから全解禁」も、どちらも失敗するよ。合格条件つきで、狭く始める。これが2026年の正解だと思う。

つまずいたときのチェックリスト

ファイル名を書いたのに「見つからない」と言われる
3点確認してください。①第1回でドライブ連携をオンにしたか(設定→アプリ)②いまログインしているアカウントで、そのファイルを開けるか ③ファイル名が正確か。とくに②が原因のことが多く、Geminiが見られる範囲=あなたが見られる範囲です。共有されていないフォルダは対象外になります。
資料を渡したのに、書いていないことを書いてくる
【禁止】に「材料に無い数字・実績は書かない」を追加してください。あわせて「どの記述を根拠にしたか示して」と書くと、作り話が大幅に減ります。それでも起きた場合は、材料が長すぎる可能性があります。読ませる範囲を絞ってください。
途中から、話がずれていく
1つの会話で複数の案件を扱っていませんか。前の話が前提として残り続けます。案件が変わったら新しい会話を開くのが確実です。長くなった会話も同様で、いったん要点をまとめさせてから、新しい会話に貼り直すときれいに戻ります。
ゴール先行型にしたら、かえって的外れになった
その業務は手順指定向きかもしれません。様式が決まっている書類、法令に沿う定型業務は、従来どおり手順を書いてください。もう一つの原因は合格条件が曖昧なこと。「わかりやすく」ではなく「見出し3つ・A4一枚」のように、数えられる条件に置き換えてください。
同じプロンプトなのに、日によって出来が違う
生成AIは毎回まったく同じ答えを返すわけではありません。ブレを抑えたい業務は、条件を数値で固定し、可能ならGemにして手順ごと保存してください(第12回)。それでも最終確認は人が行う運用にしておくのが安全です。

安全に、かしこく使うために

1材料にする資料を選ぶ

ドライブを丸ごと読ませる必要はありません。顧客の個人情報や原価が入ったファイルを材料にする前に、社内ルールを確認してください。

2根拠を書かせる

「どの資料のどこを根拠にしたか」を毎回書かせる。これだけで、確認の手間が半分になり、間違いにも早く気づけます。

3数字と固有名詞は必ず検算

AIはもっともらしく間違えます。金額・日付・法令・助成金の要件は、必ず一次情報で確認してください。

4最後は人が決める

AIは下書きと相談相手。判断と最終責任は人の側にあります。特に対外文書は、送信前に必ず人が読む運用にしてください。

よくある質問

無料プランでも、この型は使えますか?
3行プロンプト、フル装備の型、ゴール先行型は、プランに関係なく使えます。ドライブやGmailの材料指定は、連携設定と利用環境によって使える範囲が異なります。まず無料で型を身につけ、上限に当たる頻度を見てから課金を検討するのが合理的です。
結局、長く書いたほうがいいんですか?
いいえ。長さより構造と材料です。1,000字の説明を書くより、ドライブのファイルを1本渡すほうが効きます。長く書くと、かえって優先順位が薄まって指示が効きにくくなることもあります。
ChatGPTやClaudeでも同じ型は使えますか?
3行プロンプト、フル装備の型、ゴール先行型は共通で使えます。違うのは材料の渡し方です。ChatGPTやClaudeはファイルをアップロードする形が中心、Geminiはドライブやメールを名指しする形が中心。この差が、いちばん大きい使い分けの理由になります。
社員に教えるとき、何から教えればいいですか?
STEP1の3行だけで十分です。全員に全部を教えようとすると、まず定着しません。3行で1週間使ってもらい、「うまくいった型」を1つ持ち寄る会を開く。それが、いちばん早い社内展開です。
研修として社内に導入する場合、助成金は使えますか?
人材開発支援助成金など、要件を満たせば活用を検討できる制度があります。ただし対象コース・訓練時間・申請時期などの要件は毎年更新されるため、必ず最新の公募要領と、管轄の労働局へのご確認をお願いします。UGOKU AIでは、要件の整理からご相談いただけます。

理解度チェック(3問・1分)

読んだだけだと、たいてい3日で忘れます。3問だけ答えて、記憶に固定してから閉じてください。

🧠 3問クイズ

選ぶだけ。すぐに答えと解説が出ます。

1Geminiから一般論しか返ってこないとき、いちばんの原因は?
正解:どの資料を見るかを指定していない。Geminiは鍵を持っているだけで、勝手に棚を開けません。一般論が返ってきた箇所が、あなたの渡し忘れた箇所です。答えは「不足の診断書」として読みましょう。
2出てきた文章を直したい。いちばん一発で直る言い方は?
正解:場所と方向をセットで伝える言い方。曖昧な指示には曖昧な修正しか返りません。「どこを・どう」+「それ以外は変えないで」が、往復を最短にする一言です。
3「ゴール先行型」を使わないほうがいい仕事はどれ?
正解:決まった様式の書類や、法令に沿う定型業務。ゴール先行型は「進め方に幅があってよい仕事」向けです。ブレていい仕事はゴール先行、ブレてはいけない仕事は手順指定。この一線で使い分けます。

このシリーズの進み方(全15回+番外編)

1回あたり10〜15分、上から順に積み上がる設計です。整える→頼む→読ませる→書かせる→調べる→作る→任せる→広げるの順で進みます。第2回の型が、以降すべての回で使う「共通言語」になります。

テーマこの回で手に入るもの時間
第1回Geminiの基礎Googleとつながったワークスペース15分
第2回伝わる頼み方(この記事)材料を名指しするプロンプトの型10分
第3回ドライブ横断の資料分析探さずに、まとめて要点化する15分
第4回Gmail連携のメール術受信トレイを離れずに返信を終える10分
第5回Deep Research出典つき調査レポートと、裏取りの手順15分
第6回スプレッドシート分析関数を書かずに集計・グラフ化10分
第7回画像・動画の制作POP・バナー・短尺動画の内製化15分
第8回会議の準備と議事録カレンダー連携と、録音→決定事項10分
第9回タスク自動化定型処理を書かせて消す15分
第10回Canvas会話ではなく“編集画面”で仕上げる10分
第11回Gemini Notebook自社資料だけで答える社内辞書15分
第12回Gemの量産役割ごとのAI担当者を並べる10分
第13回Workspace展開チーム全員の標準にする設定と権限15分
第14回高度なプロンプト自分で考えさせる指示の組み立て10分
第15回フルワークフロー1〜14をつないだ完全AI自動化システム15分
番外編総括/セキュリティ情報漏洩・コンプライアンス・社内規程の型15分
COMPLETE

最後まで読んでくれて、ありがとう。

上のチェックを埋めていくと、進み具合がここに出ます。全部でなくて大丈夫。1つでも実際にやった人から、確実に変わっていきます。

0 / 6 ステップ完了
🎓 第2回の宿題

この記事を閉じる前に、ドライブの資料を1つ名指しして、実際の仕事を1つ頼んでみてください。それだけで第2回は合格です。うまくいったプロンプトは、必ず保存を。次の第3回では、その型を使って 「探さずに、ドライブの資料をまとめて要点化する」 資料分析を扱います(所要15分)。

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